新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される中、文科省は10月19日、今後の感染対策について、都道府県や政令市の教育委員会などに事務連絡を発出した。1日最大75万人の患者が生じると想定される同時流行に備えて、体調不良の場合に登校・登園を控えることや、部活動を含めた学校内での換気といった感染対策のさらなる推進が必要とする一方、子どもは高齢者に比べ、重症化リスクが低い点を考慮し、医療のひっ迫を招くことがないよう、ポイントを絞った効果的・効率的な対策に取り組むことを呼び掛けている。
今冬の感染拡大について政府は、専門家の感染の見込みやオーストラリアなどの状況も参考に、新型コロナが1日45万人、インフルエンザが1日30万人規模で同時に流行し、ピーク時には1日75万人の患者が生じる可能性を想定して、準備を進めるとしている。また75万人のうち、およそ25%に当たる18万4000人が小学生以下と見込んでいる。
事務連絡では、今秋以降に関して、子どもが流行の主体である季節性インフルエンザの感染対策も念頭に置いた取り組みを行う必要があるとし、▽季節性インフルエンザの同時流行も想定した体調不良者の欠席徹底▽体調不良の教職員の休暇徹底▽効果的な換気の徹底▽マスク着用が困難な状況での感染対策――のさらなる推進を呼び掛けている。
このうち、効果的な換気の徹底については、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、二酸化炭素濃度測定器を活用しながら、二酸化炭素濃度を1000ppm 以下に維持することが望ましいとし、授業で使用する教室のほか、屋内の体育館や更衣室、移動の際のバスなどを含めて、活動場所や場面に応じた換気対策を講じるよう求めた。
加えて、これからの季節において、気温が下がり、寒冷地などを中心に窓を開けることによる常時換気が困難になることが予想されるため、サーキュレーターや高性能フィルターが付いた空気清浄機の導入など、換気のための補完的な措置を講じ、可能な限り十分な換気を確保することが重要とした。また、給気と排気の熱を交換する高機能換気設備も有効とし、学校施設の状況などに応じ、導入を積極的に検討するよう求めた。併せて、設備の導入については、「学校等における感染症対策等支援事業」や「学校施設環境改善交付金」といった支援制度の活用も呼び掛けた。
一方で、学校や保育所などでの感染対策については、子どもの教育機会を可能な限り確保するとともに、子どもや教育現場、医療現場の負担とならないよう、科学的知見に基づき、ポイントを絞った効果的・効率的な対策に取り組むことが必要と指摘。
新型コロナによる医療現場の負担を軽減するため、これまでの事務連絡で、教職員や児童生徒が療養開始もしくは復帰する時に提出を求めないように依頼した、医療機関や保健所による検査結果の証明書類について、インフルエンザにおいても同様の対応を行うよう呼び掛けた。
加えて、検査についても、子どもは高齢者などに比べて重症化リスクが低いことや、本人の負担も大きいことなどから、検査によって感染拡大防止の強化を図ることは現実的ではないとした。
そのほか、同時流行で多数の発熱患者が生じた場合でもスムーズに受診や療養に移れるよう、地域の衛生主管部(局)と連携し、各地域における具体的な取り扱いを確認するとともに、学校内で、発熱などの体調不良を訴える人が発生した場合の対応について、事前に所管の学校などとの情報共有の徹底を求めた。