参院予算委が10月20日開かれ、送迎バスの置き去り死亡事件に関連して、降車時の子供の所在を確認するための安全装置が設置された後の維持管理費について、小倉将信こども政策担当相は「基本的には事業者の責任で適切に行っていただく」と述べた。国の緊急対策で義務付けされる安全装置の設置費用は事業者負担のないことが明らかになっているが、これまで維持管理費については国の見解が示されていなかった。
降車時に送迎バス車内に園児ら子供が残っていないことを確認するための安全装置の設置費用については、この日も岸田文雄首相が佐々木さやか議員(公明)の質問に対して、「義務付けられるものとして標準的な安全装置を導入した場合、事業者の負担がゼロとなるような定額補助を行う方向で調整をしている」と答弁。現在、国交省のワーキンググループで検討している「標準的な装置」に関しては全額補助を打ち出している。
続いて安全装置の問題に絡み、片山大介議員(日本維新の会)が設置後の維持管理費負担について質問した。維新の会は14日に立憲民主や共産などと共に衆院に提出した「通園バス置き去り防止法案」で、設置費用と合わせて維持管理費用についても国が全額補助するよう盛り込んでいる。
答弁に立った小倉担当相は維持管理費について、「園の設備や備品の整備、維持管理については基本的には事業者の責任で適切に行ってもらうことになっている」とした上で、園などの「他の設備や備品とのバランス、財源確保の方策と合わせて考えるべきものと認識している」とした。これに対して片山議員は「お金の負担で困っている園も多い。そういう声もぜひ聞くようにしてもらいたい」と注文した。
また片山議員は送迎バス事件の背景に、現場での負担が大きくなっている保育士の配置基準からくる保育の質の問題があると指摘。これに対して小倉担当相は「さらなる配置基準の改善をというような、たくさんの声が寄せられているのも承知している。職員の配置基準については安定的な財源の確保と合わせて検討が必要なのではないかと考えている」と述べた。