教育行政に関与する弁護士への相談体制 10県が未対応

教育行政に関与する弁護士への相談体制 10県が未対応
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 いじめや虐待だけでなく、学校や教育委員会への過剰な要求や事故への対応といった課題について、弁護士など専門家に相談を必要とする機会が増加する中、事案が訴訟問題に発展する前段階から、弁護士が対応できる体制を整えていない県が10県あったことが、文科省が10月21日に公表した「2021年度教育行政に係る法務相談体制の整備等に関する調査」の結果で分かった。これらの県については、同省初等中等教育企画課は地方交付税措置の活用について、事務連絡で説明するとしている。

 教育行政に関する法務相談体制については、速やかな問題解決を図り、教職員の負担軽減につなげるため、同省は各自治体の顧問弁護士とは別に、訴訟などに発展する前段階から法的なアドバイスをもらうことができる弁護士との協力体制の構築を進めており、2020年度から弁護士などへの相談経費については、普通交付税措置が講じられている。

 同調査は教育行政に係る法務相談体制の整備状況などの実態を明らかにするため、全都道府県および政令市の教育委員会(計67委員会)と市区町村教育委員会(1717委員会)を対象に実施した。

 調査結果によると、教育委員会事務局として、自治体の法務全般を担当する顧問弁護士など法的相談のできる体制が整っていると答えた都道府県、政令市は100%で、市区町村でも93.5%(1605自治体)に上った。

 一方で、これとは別に、保護者の過剰な要求に対する書面回答など、訴訟に発展する前段階から教育全般に関して法的に相談できる体制を整えている都道府県は約8割の37自治体だった。また、これらの都道府県のうち、地方交付税を利用するなどして、市区町村教委にも活用可能としている都道府県は24自治体と約半分にとどまった=図表

 県、市町村いずれにおいても、初期段階での弁護士への相談体制が整っていない県は▽岩手▽秋田▽福島▽栃木▽石川▽山梨▽奈良▽島根▽山口▽佐賀――の10県。このうち、県教委で今後、相談体制を構築することを検討している県は2県だった。

 相談体制を構築しない理由を10県に尋ねたところ、7県は「顧問弁護士で十分に対応できるため」と回答。残り3件は「予算の確保が難しいため」とした。

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