いじめや不登校「管理職の放置防ぐ規程を」 自民党文科部会

いじめや不登校「管理職の放置防ぐ規程を」 自民党文科部会
いじめや不登校の対策について意見を交わした自民党文科部会
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 自民党の文科部会が11月2日、東京都千代田区の自民党本部で開かれ、10月27日に公表された文科省の「2021年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について、議論が行われた。委員からは過去最高となったいじめや不登校の早期改善に向け、校長や教頭といった管理職が問題を放置しないように規程の策定を求める声が上がった。加えて党としても、都道府県や市町村で行われている対応の好事例を他の自治体に共有するなどし、改善を図ることを確認した。

 会議では文科省の担当者が調査結果を説明。不登校については、20年度より4万8813人多い24万4940人。いじめ認知件数についても、20年度に比べ9万8188件多い61万5351件と、ともに過去最高であることが報告された。
 
 その上で、いじめについては、こども家庭庁設立準備室と共同でいじめ防止対策に携わる関係府省の局長会議を設置。加えて、専門家により構成される「いじめ防止対策協議会」に対し、いじめ防止対策に関する審議を要請し、いじめの重大事態における首長の関与の在り方や、犯罪行為が疑われる場合の警察との連携といった関係機関との協力体制について検討するとした。

 不登校については、「コロナ禍が長期化したことによる生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況や、学校生活にさまざまな制限がある中、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと、保護者の意識の多様化なども背景として考えられる」とし、専門家で構成される「不登校に関する調査研究協力者会議」においてさらなる分析を行うとした。また、学校内外での機関などで相談や指導を受けた児童生徒は不登校全体の63.7%にとどまっているとし、不登校特例校の設置促進やICTを活用した学習活動の充実などを通し、誰一人取り残さない不登校施策を展開するとした。

 会議後取材に応じた中村裕之文科部会長は不登校施策について、「メタバース(仮想空間)上で勉強する例が出るなど、社会の変化が激しいので、不登校の在り方も変化している状況」とした上で、「GIGAスクールはリアルとネットのハイブリッド。リアルがいらないというわけではない。学校生活で授業だけでない学びも子どもたちに経験してもらう」と述べ、学校に復帰できる対策が原則との認識を示した。
  
 続けて、「いじめについても、不登校についても、早い対応には校長のリーダーシップが重要」と述べた上で、校長によって解決に乗り出すスピードに差があると指摘。委員からは、校長を含めた管理職が問題を放置することがないよう、文科省が規程を策定するべきとの意見があったという。

 一方で、中村部会長は「いじめでも不登校でも、各県や市町村によって対応が良い事例がある。そうしたものを横展開する」と述べ、党としても改善に取り組む意欲を見せた。

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