会計検査院(森田祐司院長)は11月7日、2021年度の決算検査報告書を発表し、省庁による税金の不適切な使用など310件、総額455億2351万円を指摘した。この中で法令違反などにあたる「不当事項」は265件(約104億3136万円)あり、文科省分は補助金の過大交付など25件(2億6593万円)あった。
文科省分のうち、義務教育費国庫負担金の交付が過大として、4県1市の計5件、9034万円が不当とされた。公立の義務教育学校に勤務する教職員の給与のうち国の負担分を計算するために必要な教員定数(基礎定数)の算出の基準となる標準学級数を過大にしていたと判断されたもの。小中学校や特別支援学校で標準学級数を児童生徒の在籍数から本来1学級とすべきところを2学級として編制して算定したケースがあった。
校内LANの新設、更新などの事業に必要な経費に充てるために、国が地方公共団体に対して補助する「公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金」については、5県の5市で補助の対象となる学校の種類に該当しない施設の整備費用を含めたり、補助の対象とならない大型提示装置の整備費用、保守費用、後年度の期間分のライセンス費用を含めたりなどしたため、5167万円が過大と指摘された。
私立学校施設整備費補助金については、2学校法人で補助の対象とならないノートパソコンの購入に係る経費を含めたケースや、補助の対象でない備品の購入に係る経費を含めて、これを除外すると1000万円未満となり補助の対象とならないケースに交付していた。3学校法人では、学校施設耐震改修工事について、補助の対象とならない給排水衛生設備工事の実施設計に係る経費や照明器具の改修に係る経費などを含めていた。5学校法人合わせて2134万円が過大とされた。
国立大学法人が遠隔授業に際して通信環境を整備するための補助事業で、サーバーなどの定期点検や修理など保守に係る経費やソフトウエアの使用料が20年度分に限り補助の対象となっていたにもかかわらず、21年度分として2国立大学法人に対して計236万円が交付されており、不当とされた。