福岡県中間市の私立保育園で5歳児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた当時の園長らに対する判決が11月8日、福岡地裁であり、執行猶予付きの有罪が言い渡された。小倉将信こども政策担当相は同日の閣議後会見で、判決には直接触れないものの、「子供の命を預かる仕事であり、各施設ともしっかり緊張感を持って日々の業務に臨んでいただきたい。私たちとしては今年の夏に起きた同様の事故を今後2度と起こさないように、今般打ち出した緊急対策を実施したい」と述べた。内閣官房などでは送迎バスの安全装置義務付けに関して、9日からパブリックコメントの募集を開始する。
小倉担当相は、岩手県一関市の小学校のスクールバスで今月2日に小1児童が一時バス内に置き去りにされ、自分でクラクションを鳴らして無事保護された件についても触れ、「静岡県牧之原市の事故があって間もない中で、大事には至らなかったものの同様の置き去り事故があったことは大変遺憾。ヒヤリハット事案については、施設内での共有を徹底してもらうと同時に蓄積をして、そのことが起きていない施設にも共有してもらうということも重要だ」と、再発防止に向けてヒヤリハット事案を事故の防止につなげていくことを求めた。
送迎バスの安全装置の義務付けは、国が幼稚園や保育所、認定こども園、特別支援学校などで使用する全ての送迎バス約4万4000台に、置き去り防止のための安全装置の設置を義務付けた。そのための財政支援については、標準的な装置に限り18万円を限度に施設側の負担が実質的にゼロにすることとしている。また、義務化されない小中学校と放課後児童クラブの計1万1000台についても、安全装置を必要とする施設に対して、義務付け支援の半額の補助を行う方向で調整が進められている。
パブリックコメントの募集は、10月12日に取りまとめた「こどものバス送迎・安全徹底プラン」に盛り込まれた、幼児の所在確認と安全装置の義務付けに伴い改正される関係府省令について、一般から意見を求めるもの。義務付けられるのは、幼児の通園や園外活動のために車を運行する場合、乗降の際に点呼などの方法で幼児の所在を確認することと、通園用の車を運行する場合にその車に幼児の見落としを防ぐためのブザーなどの装置を設置すること。改正府省令の公布は12月下旬を予定しており、来年4月1日に施行される。12月8日まで意見を求める。