総合教育会議の活性化策を議論 調査研究協力者会議

総合教育会議の活性化策を議論 調査研究協力者会議
教育委員会の機能強化などを議論した文科省の調査研究協力者会議
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 教育委員会の機能強化などを検討する、文科省の地方教育行政の充実に向けた会議の第9回会合が11月14日、オンラインで開かれた。教委と首長部局との効果的な連携の在り方についての論点について議論が行われ、この日は、総合教育会議を通じた首長部局と教委の連携について提言が相次いだ。

 この日開催されたのは、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議。中教審が2021年1月にまとめた答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」で、教委の機能強化など地方教育行政の在り方が今後の検討事項として指摘されたことを踏まえ、今年1月から議論をスタートした。これまでの8回の会合で、教委事務局の機能強化のための教育行政への多様な人材の参画と、教委会議の活性化に向けた教委のチェック機能の実質化について議論されてきた。

 この日の会議では、条例や予算などに係る権限を持つ首長と教委との協議・調整の場である総合教育会議の活性化に関し、事務局から提示された論点案について議論した。

 論点案によると、「総合教育会議は首長と教委が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図ることを目的としており、教育に関する課題が多様化、複雑化していることを踏まえ、首長部局の福祉部局との連携をより一層強化していく場としても極めて重要である」とした上で、総合教育会議を実質化するためにどのような方策が考えられるかと問題提起。

 事務局の在り方として、総合教育会議は地方公共団体の長が主催することになっており、事務委任などで教委が事務局を務める場合でも十分な調整のもとで首長の意向が十分に反映された議題設定をすることが、さらなる活性化に資すると指摘。さらに教育行政を取り巻く社会環境が多様化、複雑化し、教委だけでは処理しきれない分野横断的な行政課題が多く存在している状況を踏まえ、外部有識者の参画など、必要な知見を取り入れる取り組みも積極的に促進する必要があるとした。

 総合教育会議で取り上げる議題については、教委単独では対応しきれないさまざまな課題への対応、施策について取り上げることが重要で、各自治体が抱える教育課題のほか、子育て支援や児童福祉などの福祉部局と連携した取り組みなどの課題を扱うことも考えられる、としている。法令上、いじめ重大事態など緊急の場合も同会議で協議されることになっているが、実際は十分な開催がされておらず、総合教育会議で協議・調整を行い、確実に首長と教委が連携して対応することを徹底することが必要ではないか、としている。

 このほか来年4月からこども家庭庁のもとで子供施策が一元的に推進されていく中、地方教育行政においても、首長との密接な連携を通じて社会福祉の行政分野との融合を図っていくことが重要と盛り込んだ。その際には、教委に社会福祉の専門家を配置し、首長部局との人事交流や併任発令などにより部局間で連携を図りやすくする工夫を行うことが重要であるとも指摘している。

 これらの論点整理案に、委員がそれぞれ発言。

 岩本悠地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事は「首長部局との効果的な連携の在り方や教委の機能強化、充実のために国ができることとか、すべきことまで踏み込んで、このような事例があると記述した方がいいのでは。そういった情報提供を国の一つの役割としてできるのではないか」と提言。

 青木栄一東北大学教育学研究科・教育学部教授は「首長が教育行政に関わるのは大事だが、総合教育会議の下部の首長部局と教委事務局レベルでの会議体のようなものができていけば、両者の連携というものが深まるのではないか。また、県教委の市町村教委に対しての支援機能も盛り込んでいただきたい。少なくとも好事例の収集や展開というものは、県の役割として描いていただければ」と述べた。

 小崎誠二奈良教育大学教職大学院准教授は「総合教育会議の準備段階で担当者同士がつながるということは大事で、外部の方の意見を中へ取り込むということもとても大事だ。それと首長部局と教委との人事交流は、自分ごととしてやっていくことにつながるので重要だ」とした。

 村上祐介東京大学大学院教育学研究科准教授は「教員出身者が首長部局に入って果たす役割が大きいので、福祉やいじめ問題で連携するような手助けやその人的な支援を国として打ち出せないか。ここは思い切って交付税措置とか加配を求めてもいいのではないか」と提案した。

 この日の議論の最後には、座長を務める清原慶子杏林大学客員教授が「来年4月からこども基本法が施行される中で、子供の意見表明権をいかに子供にかかる政策において保障していくかということが、現実的な自治体の課題になると認識している。首長部局と教委との連携の課題の一つに子供たちの意見をどのように反映するか、どのような声を聞く仕組みを作っていくかということについても、検討課題として位置付けていかなければならない」と結んだ。

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