「教員を保護する環境作りを」 財務省、採用倍率低下で

「教員を保護する環境作りを」 財務省、採用倍率低下で
iStock.com/7maru
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 11月14日に開かれた財政制度等審議会歳出改革部会で、財務省は「教員採用倍率は大幅に低下しており、教員の『質』の確保が課題」との見方を示し、「若者を中心とした優秀ななり手を増やす施策が必要」だとして、働き方改革の取り組みと並んで、勤務時間外の事件・事故などの教職員対応は原則として行わないなど「教員を保護する環境作り」が必要だと指摘した。一方、「教員の『量』的充実度はすでに先進国の中でも高い水準」にあるとして、加配定数のさらなる充実には慎重な姿勢を崩さなかった。

 財務省は教員採用倍率の低下により、質の高い教員の確保が困難になりつつあるとして、「なり手の確保が喫緊の課題」と指摘。教員志望率を引き上げるためには、①学校を魅力ある職場に変革すること(働き方改革、教員を保護する環境作り)②優秀ななり手の発掘・育成に取り組むこと(免許制度・採用方法の検討、研修の効果検証)――の2点が必要だとした。

 ①の「魅力ある職場への変革」に関しては、公立学校では時間外勤務手当を支給しない代わりに教職調整額が支給されていることや、給与負担者と服務監督者が同一でないことから、民間企業のように働き方改革を進めるインセンティブが湧きにくい構造になっていると指摘。市町村のインセンティブを高めるため、「国が行う一定の補助事業(外部人材・地域学校協働活動)について、学校ごとに働き方改革の取り組みを公表することを要件としてはどうか」と提案した。

 また、学校や教育委員会への過剰な要求や、学校事故への対応については、「教員に過度な負担を負わせない取り組みを導入・展開することにより、教員を保護する環境を作っていくべき」として、スクールロイヤーが法的側面からの支援を行ったり、県教委から地域・保護者に対し、勤務時間以外の対応は警察・救急・消防などの対応関係機関に連絡してもらうよう、協力依頼をしたりする例を挙げた。

 また②の「優秀ななり手の発掘・育成」に関しては、「官と民の間で人材が流動的に行き来する仕組みを導入するなど、免許制度や採用方法について新たな仕組みを検討すべき」と提案した。また、教員にはさまざまな研修の機会が提供されているものの、研修の効果が測定できていないとして、「研修の効果を測定し、効果の高い研修に資源を集中できる体制を整えるべき」と指摘した。

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