部活動の新ガイドライン案公表 地域移行提言踏まえ

部活動の新ガイドライン案公表 地域移行提言踏まえ
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 来年度から公立中学校の休日の部活動が順次地域移行されることに伴い、スポーツ庁と文化庁は2018年に策定した部活動のガイドラインを全面的に改訂した、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」案を11月16日、公表した。部活動の適正な運営や効率的・効果的な活動の在り方とともに、新たに地域移行後の体制整備のために必要な対応策を盛り込んだ。両庁では、新ガイドライン案に対する一般からの意見募集を17日から12月16日まで行った上で、速やかに策定する予定。

部活動の地域移行に関する新ガイドライン案
部活動の地域移行に関する新ガイドライン案

 18年に策定された運動、文化それぞれの部活動に関する総合的なガイドラインは、部活動が円滑に行われるよう、その活動の目的や運営体制、適切な指導、休養日、生徒のニーズを踏まえた環境整備、参加する大会の見直し――などについて、教育委員会や学校が取るべき対応の指針をまとめたもの。

 その後、国の有識者会議で中学校段階での部活動について、少子化と教員の働き方改革の観点から、休日の活動拠点を学校から地域に移行することが検討され、今夏、両部とも地域移行に向けての提言がまとめられて来年4月から3年がかりで実施されることとなった。今回、それらの提言を踏まえて、ガイドラインを一本化して改訂する。

 新ガイドライン案では、部活動が本格的に地域移行することから「新たな地域クラブ活動」の章などを書き加えた。それによると、参加者はこれまで学校部活動に参加していた生徒のほか、希望する全ての生徒を対象とし、運営主体としては、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、クラブチーム、文化芸術団体、保護者会、同窓会など幅広く多様な受け皿を想定。

 指導者の質の保証については、都道府県、市区町村は各地で専門性や資質・能力を持つ人材を確保し、指導者資格の取得にあたっては運動部の場合、日本スポーツ協会が制度設計に取り組むよう明記された。指導者による暴力など問題行動があった場合の相談窓口の活用についても触れている。指導者の量についても、運営主体がスポーツ・芸術団体の指導者のほか部活動指導員、退職教師、兼職兼業の教師ら、さまざまな関係者を確保するよう求めている。

 地域クラブで新たに発生する会費については、運営主体に可能な限り低額に設定するよう求めたほか、都道府県や市区町村は困窮家庭へ支援の取り組みを進めるとした。

 また、大会の在り方の見直しについては、現ガイドラインでも触れていたが、新ガイドラインでは大幅に加筆。地域移行で学校単位のほか地域クラブや合同チームも予想されることから、全国大会や地方大会などさまざまなレベルの主催者に参加資格の見直しを求めた。この点についてはすでに中体連が、23年度から全国大会へ地域クラブ所属の中学生の参加を認めている。

 教員が担っていた生徒の引率や、大会運営への従事に関しては、引率を外部指導者や地域の指導者やボランティアに任したり、主催者側が大会を運営するための人員を適切に確保したりするよう改善を促している。

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