【特報】どうする給特法 自民特命委「抜本的改善案を提案」

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 学校の働き方改革が喫緊の課題となる中、自民党は11月16日、新たに立ち上げた「令和の教育人材確保に関する特命委員会」の初会合を開いた。特命委では今後、現行の給特法などの枠組みの見直しをはじめとする教師の処遇改善や、教員志望者を増やすための支援などについて議論する予定で、委員長を務める萩生田光一政調会長は「来年の骨太方針を見据えつつ、政府に対して抜本的な改革案を提案したい」と意気込んだ。来年3月まで有識者などへのヒアリングを行った上で、来年4~5月に基本的方向性を取りまとめる。

文科相経験者が特命委のトップに

新たに立ち上げた特命委員会の冒頭であいさつする萩生田委員長
新たに立ち上げた特命委員会の冒頭であいさつする萩生田委員長

 冒頭、あいさつに立った萩生田委員長は「教師はわが国の未来を開く、子どもたちを育てるという崇高な使命を有するかけがえのない職業であり、そのような認識を社会全体で共有することが重要だ。長時間勤務や採用試験の倍率低下といった状況を改善し、教育の質の向上を図るためには、教師の処遇改善、働き方改革のさらなる推進、そして定数改善をはじめとするマンパワーの充実が欠かせない」と述べた。

 また、「合わせて教師を志す学生への支援を充実し、優秀な若者が教師になり、教師を志す、こういった政策が必要だと思っている。このため本特命委員会では、教師に優れた人材を確保できるよう聖域なき議論を行っていただき、来年の骨太方針を見据えつつ、政府に対して抜本的な改革案を提案してまいりたいと思う」と力を込めた。

 次いで、委員長代行を務める末松信介前文科相は「(文科相として)通常国会で1084の質問を受けた。いじめの問題、不登校の問題、ICT教育の推進の問題、いろいろあったが、やはり教師の働き方改革は、根っこのところでいじめの問題にも通じるだろうし、あるいはまた不登校の問題にも通じてくるので、教師の在り方、教師のゆとりというものも大事だと思う。しっかり議論していきたい」と語った。

 さらに、委員長代理を務める柴山昌彦元文科相は「私の(文科相)時代に、『新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策』について、中教審から答申をいただいた。そしてそれを受けて、給特法等の一部改正を行い、上限、月間45時間の残業のガイドライン等についても、定めさせていただいたところだ」と振り返った。

 その上で「実際にこれがどのように機能するかということについて、勤務実態調査を行うことになっており、その実態を踏まえて、さらなる抜本的な方策というものが必要かどうかということがまさしくこの、委員会に課せられた大きなテーマであると考えている。働き方改革では、いろいろな取り組みがこれまで行われてきた。けれども、果たしてそれがどのような形で功を奏しているのかいないのか、追加的な措置が必要なのか。そういうことについて、しっかりと議論をしていきたい」と語った。

萩生田委員長「少し俯瞰しながら、制度を深掘りしていきたい」

 特命委が初会合で提示した検討項目案は▽教師がやりがいを持って働くことができる環境の整備(教職調整額を規定している現行の給特法などの枠組みの見直しを含む教師の処遇改善について、学校の働き方改革、少人数学級や小学校専科指導を含む勤務環境整備について)▽教職の魅力を高め、志ある優れた人材が教師を目指すための支援(教師を志す学生の育成支援について、多様な強み・専門性を有する教職員集団の形成について、教員研修の高度化について)▽その他優れた教師の確保方策――となっている。会合後に取材に応じた田野瀬太道事務局長によれば、初会合では検討事項の案を提示し、文科省からの現状の対応の報告、質疑応答などが行われた。

 萩生田委員長は会合後、「教師の給与体系は昭和の時代に作った制度であり、給特法や人材確保法など、一般の公務員よりは当時は優遇された制度であったはずだが、時代や仕事の内容の変化によって、今ではその優遇策は相殺どころかへこんでしまって、最も大変な職業の一つに数えられるようになってしまった。志願者も減っているし、現場としての教師不足という問題もある」と、現在の教師の労働環境を巡る問題意識を説明した。

 その上で、今回の特命委立ち上げの背景について「教職という仕事は、その子供たちの教師との出会いが人生を変えるほど、かけがえのない価値のある仕事だということを、社会全体でもう一度しっかりと位置付けをし、子供たちを育てるという崇高な使命を有する教師を、そういった職業なのだということを、わが党として位置付けを明確にした上で、これからの教師像はどうあるべきか、適切な人数はどうあるべきか、適切な給与体系はどうあるべきか、というのを、この機会にしっかり整理をしようということにさせていただいた」と説明した。

 さらに給特法の見直しについて、4%の教職調整額の根拠が、1966年の勤務実態調査での残業時間(月平均約8時間)にあることに触れ、「実態としては、昭和の時代にはなかった違う業務がどんどん増えている。それに対応できるよう、お金の面だけではなく、全体的に仕事内容も含めて見直す必要があるのではないかということで、少し俯瞰しながら、これから制度を深掘りしていきたい」と考えを述べた。

 同委員会の役員は次の通り(敬称略)。

  • 委員長   萩生田光一
  • 委員長代行 末松信介
  • 委員長代理 柴山昌彦
  • 幹事長   義家弘介
  • 幹事長代理 中村裕之
  • 事務局長  田野瀬太道
  • 事務局次長 青山周平
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