コロナ禍の留学で「逆境に打ち勝つ力」 高校生らが成果報告

コロナ禍の留学で「逆境に打ち勝つ力」 高校生らが成果報告
コロナ禍での留学について振り返る韓智媛さん
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 文科省が官民協働で留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN」事業の第1ステージが今年度末で終了するのを前に、報告会が11月18日、同省で開かれた。寄付による留学支援制度「日本代表プログラム」の支援企業や学校関係者など、約150人が参加。コロナ禍の中、支援制度を活用して留学した高校生が「逆境に打ち勝てる力が身に付いた」と成果を語った。

 「トビタテ!留学JAPAN」第1ステージは2013年に立ち上げられ、今年度末まで9年にわたって行われた。中心事業の一つで、民間企業などから寄付を募り、留学希望者に返済不要の奨学金を給付する「日本代表プログラム」は、高校生3389人、大学生6082人の計9471人が採択(2021年10月現在)。留学の足掛かりとなった。

 この日は、制度を活用した留学生を代表し、高校生と大学生各1人がステージに上がり、成果を報告。今年7月から8月にかけて英国のロンドンに留学し、建築について学んだ芝浦工業大学柏高校3年の韓智媛(ハン·ジウォン)さんは、一番の財産を「ホストファミリーという第二の家族ができたこと」と話した。

 コロナ禍での留学については、当初希望していた米国留学を断念し、気持ちの整理に時間がかかったと明かした上で、屋内でもマスクを着用しないなど制限が日本よりも緩和されているロンドンの環境を見て、「3年前の日常が戻ってきたという喜びと、その日常を新鮮だと思う自分に少し寂しさを感じた」と振り返った。

 それでも、大学で建築に関する講義や、多様なバックグラウンドを抱えている人との交流を経たことで、「自分と真正面から向き合えたし、コロナ禍の逆境に打ち勝つ力も身に付けられた。留学したことで人生が変わった」と喜んだ。

 最後に「世界中の全ての人が受け入れられて、全ての人がふさわしくあれるような、80億人の居場所を作るために建築家になりたい」と将来の夢を力強く語った。

 来年度から2027年度までの「トビタテ!留学JAPAN」第2ステージでは、より若い時期からの海外経験を重視するために高校生の支援を強化。高校生に対する奨学金を700人に拡充した。現在、候補者を募集している。

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