いじめ対策に関係府省が結集 連絡会議が初会合

いじめ対策に関係府省が結集 連絡会議が初会合
関係府省会議であいさつする小倉担当相(右)と永岡文科相
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 学校現場などでの深刻ないじめの実態を受け、こども家庭庁設立準備室と文科省は11月24日、政府全体としていじめ防止対策に取り組むため、関係府省連絡会議の初会合を開き、今後の検討課題などについて議論した。

 文科省の調査によると、昨年度の学校でのいじめによる児童生徒の生命にかかわる重大事態の発生件数は705件で、対策に急を要する状況となっている。これまでいじめ防止にあたっては各府省でそれぞれが所管に応じた対策を取ってきたが、これらの知見や情報を結集し、対応すべき検討課題を整理し、結論を得たものから政府を挙げて速やかに対応していく体制を整えることが必要と判断され、今回、連絡会議が設置されることになった。

 席上、小倉将信こども政策担当相は「子供真ん中社会の実現を目指す上で、いじめを政府全体の問題として捉え直し、関係府省の連携強化も含め、これまでの延長線上を超えた対策が必要だ。子供が抱えるさまざまな背景を把握するため、子供の声にもしっかりと耳を傾けながら、学校や教委が警察や児童相談所、法務局などの関係機関と情報共有を図り、連携して必要な支援ができるよう、制度の連携体制の一層の強化に取り組んでいただくようお願いしたい」とあいさつ。

 その上で「いじめで苦しんでいる子供にとって、対策は待ったなしだ。来年のこども家庭庁の発足を待たずに、同庁発足後の姿も見据えながら、早期に対応すべきことを優先的に検討、速やかに周知すると同時に、可能な限り急ぎ検討し、結論を得たことから順次取り組んでいただきたい」と強調した。

 続いて永岡桂子文科相も「児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中、学校、教委などにも根本的な解決が難しいケースもあり、地域の医療や福祉、警察などの関係機関と積極的に連携、協力をし、いじめの未然防止や早期発見、そして適切な支援につなげることが重要だ。連絡会議の設置を契機として、子供の視点に立ったいじめ防止対策が効果的に実施されるよう、しっかりと取り組んでもらいたい」と述べた。

 連絡会議は、内閣官房こども家庭庁設立準備室と文科省が議長となり、構成員として内閣府、警察庁、総務省、法務省、厚労省、経産省が参加。この日は、「いじめ防止対策の強化について」として、今後検討されるべき計14項目を確認した。

 それによると、まず年末年始を目途に早期に対応すべき項目としては、▽犯罪行為が疑われる場合の警察連携の徹底など、関係機関との連携の強化▽被害児童生徒・保護者へのケアと加害児童生徒への指導・支援方策▽保護者と学校が共にいじめ防止対策を共有するための普及啓発方策▽いじめの重大事態における総合教育会議の活用等・文科省による厳格な指導――を挙げた。

 さらに年明けをめどに検討に着手し、年度内を目途に結論を得たものから順次実施していく項目としては、▽重大事態の認知から調査開始までの迅速な処理に向けた検討▽専門家による重大事態調査等に関する助言方法▽重大事態に関する国への報告による状況把握の仕組み▽重大事態調査における課題抽出に向けた報告書の分析方法の検討――が挙がった。

 結論を得たものから順次実施していく項目としては、▽ネットいじめについての対応強化に向けた方策検討▽リスクマネジメント力のある教育長の確保方策▽いじめ対応における 「第三者性確保」の方策▽学校外からのいじめ防止対策アプローチの確立方策▽被害児童生徒へのケアの方策 (ICT も活用した積極認知の強化等)▽学校教育におけるいじめ (や犯罪)についての学習の充実――としている。連絡会議では、項目によっては、文科省の「いじめ防止対策協議会」の有識者の知見も得ながら、議論を進めていく方針。

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