部活動の地域移行で文科相に財政支援要望 九都県市会議

部活動の地域移行で文科相に財政支援要望 九都県市会議
永岡文科相(中央)に要望書を提出した本村相模原市長(左)
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 公立中学校で2023年度から休日の部活動が地域移行する問題に関して、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の4知事と横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の5政令市長で構成する九都県市首脳会議は12月7日、自治体や家庭に対する財政的な支援などを求める要望書を永岡桂子文科相に提出した。

 国は、23年度から公立中学校の運動部、文化部ともに休日の活動を地域の指導者や運営主体に委ねることにし、移行に向けての提言を今年まとめた。さらに先日、地域移行後に部活動が円滑に行われるよう運営体制、適切な指導や環境整備、参加する大会の見直しなどについてガイドライン案が策定され、一般からの意見募集を現在行っている。

 ただし、地域移行にあたり自治体によっては指導者や運営主体の確保に難航するなどの課題があるほか、学校を離れての活動となることから指導者への謝金や運営主体への会費など生徒、保護者の負担が増加することになり、財源を含め対応に苦慮している自治体が多くあるとされる。

 同会議の要望書では、「これまでの部活動の多くが教師の献身的な取り組みによって支えられており、その活動に係る各家庭の負担は、活動に必要な道具や大会の参加費などの実費程度が基本であったことから、希望する全ての生徒にスポーツ、文化芸術活動の機会が確保されてきた」と指摘。さらに「部活動を地域に移行した際には、指導者の確保にあたり、適切な対価が支払われることが重要となるほか、大会運営にも多大な費用がかかることが想定され、新たに生じる費用の多くを自治体や家庭が負担しなければならない状況が懸念される」とした。

 その上で、①地域移行に向けて自治体や地域の実情を十分に把握し、学校の働き方改革や現行の自治体の実務を踏まえた上で、生徒の視点に立った支援を継続的に検討し、持続可能な制度設計に取り組むこと②生徒の視点に立って、受け皿となる関係団体や大会主催団体と十分に連携を図り、生徒の活動機会や多様な発表の場が確保されるよう検討すること③生徒の活動費について、自治体あるいは地域によって、家庭の負担に格差が生じることがないよう費用負担の在り方を示すとともに、生活困窮世帯の生徒が活動機会を奪われないよう、万全の措置を講じること④地域の団体や人材による指導に伴う人件費および事務費について、自治体に新たな財政負担を強いることがないよう、十分な財政措置を講じること⑤自治体の規模や財政力などによって地域移行に係る取り組みに格差が生じず、また移行後も継続的かつ安定的な運営が可能となるよう、永続的な財政措置を前提として制度設計を行うこと――の5点を要望している。

 この日、同会議を代表して永岡文科相に要望書を手渡した本村賢太郎相模原市長は「地域移行で子供たちのやりたいことができなくなってはいけないので、特に生活困窮世帯への支援を強く要望した」と話した。

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