児童養護施設の中高生を海外に 留学支援のプロジェクト

児童養護施設の中高生を海外に 留学支援のプロジェクト
「Study In America」について説明するピースウィンズ・ジャパンの大西代表理事(オンラインで取材)
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 海外人道支援などに取り組むNGOのピースウィンズ・ジャパンは12月6日、都内で記者会見を開き、児童養護施設で暮らしている子どもたちを海外に派遣する留学支援プロジェクト「Study In America」をスタートさせると発表した。すでにいくつかの児童養護施設から海外留学を希望している中高生がいるという声が上がっており、来年3月には実際に10人の中高生が米国に短期留学する「スタディツアー」を実施する予定で、来年以降、年単位の長期留学の支援にも乗り出す。

 児童養護施設にいる子どもたちの大学進学率はそうでない子どもたちと比べて低く、進学を希望していても経済的な理由などで施設側でも十分に対応できないなどの課題があった。ピースウィンズ・ジャパンでは当初、児童養護施設の子どもたち向けの大学進学のための奨学金制度の創設を検討していたが、2020年度から修学支援新制度が始まったことを受けて、別の形での支援を検討。海外留学を希望する子どもをサポートする同プロジェクトを立ち上げた。

 ピースウィンズ・ジャパンが児童養護施設にヒアリングを行ったところ、「ニーズはある」「今すぐに推薦したい子どもが1~2人いる」といった声があり、先行して米国でのスタディツアーを企画。来年3月の実施に向けて、希望した6人の中高生に対して事前研修などを行っている。

 今後は、活動資金の調達などに取り組みつつ、短期留学のスタディツアーと合わせて長期留学の支援も行っていく方針。

 記者会見でピースウィンズ・ジャパンの大西健丞代表理事は「海外に行って社会のゆがみや改善すべきところに対する思いを覚醒してもらいたい。恵まれない子どもに対するチャリティーではなく、この社会を変えてもらえるような、後々のチェンジメーカーが出てくればいいなと思っている。特にグローバルチェンジメーカーになってくれるような人材群が、こういったスキームから生まれてくることを願って始めた」と話し、児童養護施設で育った子どもたちが留学経験を生かして社会をよくしていく可能性に期待を寄せる。

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