【特報】どうする給特法 改廃望む割合、校種で大差なく

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 教育新聞は9月30日から10月6日まで、購読会員および過去のアンケート回答者(公立教員)を対象にウェブアンケートを実施し、485件の有効回答を得た。今回はそのデータを使い、教員の労働環境を改善する上で「給特法の見直し」が重要だと答えた人や、給特法の廃止・改正が望ましいと答えた人の特徴をクロス集計した。すると、校種別では大きな差が見られず、また年代別に見ても傾向は見いだせなかった。一方、給与や労働時間への満足度別に見ると、満足度が低い人ほど給特法の見直しを重視しており、さらに廃止など抜本的な改革を望む傾向が見られた。

 教育新聞のアンケートでは、「教員の労働環境を改善し、より子供たちと向き合えるようにするため、重要だと感じることは何か」を複数回答(3つまで)で尋ねた。すると、給特法の見直しは「教員配置の拡充」(65.2%)、「少人数学級の推進」(37.3%)に次ぐ31.8%にとどまった。以下「持ちコマ時数の削減」(30.9%)、「部活動の地域移行」(25.8%)、「教育委員会による業務の見直し」(20.6%)、「教員以外の専門職員・支援員の拡充」(20.0%)と続いた。

 今回のクロス集計では、どのような属性の人が「給特法の見直し」を選ぶ割合が高かったかを確認。校種別に見ると、回答者が少なかった特別支援学校を除き、割合に5ポイント以上の差が生じた校種はなく、いずれの校種でも3割前後の回答者が、教員の労働環境を改善する上で給特法の見直しを重視していることが分かった。また年代別に見ると、30代で選択割合がやや低く、50代でやや高い傾向はあったが、大きな差は見いだせなかった。

 一方、明確な傾向が見られたのは、給与や労働時間への満足度との関係だった。給与、労働時間への満足度が低いほど、労働環境を改善する上で重要な施策として「給特法の見直し」を選ぶ割合が高くなっていた。とりわけ、給与も労働時間も不満(「不満」「やや不満」の合計)だと答えた人では、他より顕著に高くなっていた=図表1~3

 

 さらに、給特法について知っていると答えた人を対象に、見直しの方向性として「改正」「廃止」「現状のままでよい」のいずれが望ましいかを尋ねた設問についても、どのような属性で回答が分かれたかを確認した。まず、校種別・年代別に違いがあるかを確認したが、明確な違いは見いだすことができなかった。

 ただ、給与や労働時間への満足度との関係はここでも見て取ることができた。給与、労働時間への満足度が低いほど、より抜本的な「廃止」を望む回答者が多い傾向があり、給与も労働時間も不満だと回答した人では、「廃止」が過半数を超え、51.4%となった=図表4。特に労働時間に不満がある人で「廃止」を望む傾向がみられ、給特法があるが故に時間外労働削減のインセンティブが働かない、いわゆる「定額働かせ放題」のイメージが強いことがうかがえる。

 

 給与、労働時間のいずれも不満だとし、さらに労働環境改善に給特法の見直しが重要だと答えた回答者からは「教職員の働き方が進まず、時間外労働の実態が変わらないのは、業務量が減っていないからである。教職員の働き方改革のためには、定数増などの条件整備と給特法廃止と労働基準法の適用など給与面などの処遇改善の2つが必要である」(九州・沖縄/中学校・40代)といった声が上がっている。

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