東京都教育委員会は例年4月1日に公表している教員の人事異動について、来年春から早める方向で検討を進めていることが、このほど明らかになった。人事異動の公表を受けて新年度になってから離任式を行う学校が多かったことから、保護者や児童生徒からは「年度内にお世話になった先生にあいさつしたい」という声があったという。
12月8日に開かれた都議会の定例会で、自民党の発地易隆議員は「都教育委員会では4月1日付の教員の人事異動情報について、例年、4月1日に公表している。一方、他県を見ると年度内の3月中に教員の人事異動情報を公表している県が多数ある。年度内に公表することで、先生が離任する前に児童や生徒から感謝の意を表す機会を設けることにより、道徳教育の充実にもつながると考える」と述べ、浜佳葉子教育長に、年度内に教員の人事異動の公表時期を早める意向があるかを尋ねた。
これに対し浜教育長は「都教育委員会ではこれまで教員の人事異動情報を4月1日に公表しており、多くの学校では在校生と教員のお別れの機会として、新年度に離任式を行っている。他方、児童生徒、保護者等からは年度内にお世話になった先生にあいさつしたいなどの声もあることから、教員と児童生徒が余裕をもってお別れの機会が持てるよう、公表時期を早めるべく調整を行っている」と答弁した。
都教委によると、来年春の人事異動を視野に公表時期の前倒しを検討しているが、具体的にどの時点で公表するかは調整中だという。都教委の担当者は「新年度になってから離任式が行われると、出席がかなわない教員もいた。公表時期によっては年度内に離任式を行うことも可能になるが、日程などは各学校の判断になる」と話している。