茨城県常総市の県立水海道第一高校・附属中学校(高橋淳校長、生徒827人)で12月14日、進路選択をテーマにした出前授業が行われた。東京都世田谷区のオルタナティブスクール「HILLOCK」のカリキュラムディレクターを務める五木田洋平さんら2人が講師を務め、約40人の生徒を前に自己分析や体験活動の重要性を説明した。
同校の卒業生でもある五木田さんは、学歴やテストの点数に縛られないで進路を選択するためには、自分の得意不得意や他者からの見られ方といった自己分析が重要と指摘。
自身の高校時代を、「勉強が嫌いで、部活動もけがでうまくいかない灰色の日々だった」と明かした上で、「進路をなんとなくで選んでしまうと、本気でその進路を選んだ人には勝てないし、なんとなくの人とは仲間になりたくないと感じる」と強調。さらに「絶対に幸せになれない方法は納得してないことをやり続けることと、自分なりの関わり方を知らないまま関わってしまうこと」と述べ、自己実現のためにも、大学進学前に自分を知ることが重要とした。
さらに、関心のあることに対し、自分なりのやり方や教師に頼ることで、少しずつでも関われるようになることが、家で1人ではできない学校の良さとし、「本当に興味があることに関わってみてほしい」とメッセージを送った。
カンボジアなどでインターンシッププログラムを展開する森山たつを氏は「将来したい仕事をイメージした上で、進路選択をすると楽しくなる」と力説。自身は大学時代のさまざまなバイト経験から自分の特性を把握できたとした上で、「学校の成績だけで判断するのではなく、体験をいっぱいして得意な事、苦手な事の一覧表を作ってほしい」と熱く語った。
また、サバの定食を例に日本と米国の物価を比較。日本と同じ商品でも海外では数倍の値段で売れることがあるとした上で、「日本で働くにしても、これからは外国人相手に仕事をすることが得」と海外に目を向ける重要性を訴えた。
さらに、「大学卒業後の就職が多い日本では大学入学までに勉強のピークを迎えるが、博士号を重視する傾向にある米国や中国では大学進学後からギアを入れる」と指摘。勉強が本当に好きな人は、海外の大学に進み、年収の高い海外企業で働く道もあるとアドバイスを送った。
将来は犯罪心理学者になりたいという松ノ尾心結さん(中学1年)は「いろいろなことに触れるのが大切ということを学んだ。決めている進路はあるけれど、実はもっとやりたいことがあるかもしれないし、これが全てじゃないかもしれないと思った」と心を揺さぶられた様子。また、鈴木洸晴さん(高校2年)は「自分の将来について考えるいい機会になった。研究職に就いてみたいなと思う中で、海外の話は興味が湧いた」と語った。
同校では月1回、外部講師による自由参加の出前授業を行っている。海外の大学とオンラインでつないだり、お笑い芸人を招いたりするなど内容は多岐にわたる。出前授業を企画する福田崇副校長は「学校は勉強と部活動で手いっぱい。2人の話のように、面白い学びはたくさんあるのに取りこぼしているという問題意識があった。勉強や部活動以外の刺激を受けることで、生徒たちも何か変わっていくと思う」と説明した。