コロナ禍後の留学生の受け入れ・派遣策を検討 教育未来創造会議

コロナ禍後の留学生の受け入れ・派遣策を検討 教育未来創造会議
iStock.com/Shendart
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 日本の将来を支える人材の育成や大学教育の在り方について検討する、政府の「教育未来創造会議」ワーキンググループの会合が12月14日開かれ、9月に岸田文雄首相から示された「コロナ後の新たな留学生受け入れ派遣計画」「卒業後の留学生の活躍に向けた環境整備」「教育の国際化の促進」の3つのテーマについて、提言のたたき台となる骨子案が示され議論された。同WGでは次回も骨子案について検討し、来春の提言に向けた意見の取りまとめを行っていく方針。

 この日示された骨子案では、留学生の受け入れ・派遣や教育の国際化を巡る現状と意義を議論の背景・目的として明記した上で、コロナ後のグローバル社会を見据え、留学の質の向上につながる KPI(重要業績評価指標) の在り方を含む今後の方向性について検討することとした。具体的方策として新たな外国人留学生の受け入れに向け、日本への留学機会の創出、入学段階での要件・手続きの柔軟化、国内大学の教育研究環境の質および魅力の向上、適切な在籍管理の徹底や技術流出防止対策の強化について掘り下げる。高校から大学院段階までを通じた日本人学生派遣の推進、初等中等教育段階における英語教育・国際理解教育の推進についても検討する。

 また、外国人留学生等の高度専門人材の定着率の向上のために、留学生の就職促進に向けた取り組みの促進、受け入れ先の企業風土の改善と環境の充実、関連する在留資格の運用の見直しについても検討。日本人学生の就職円滑化に向けた環境整備についても議論する。

 委員からは骨子の全体の構成について「日本の成長をけん引する高度人材にはグローバルな視点や経験が不可欠であり、投資が必要ということを明確に記述することが大事」「グローバルな経験や人材の必要性が社会全体で共有されることの重要性をきちんと書いていくべき」「グローバル社会における人への投資というテーマなので、外国人留学生の受け入れよりも日本人学生の派遣が議論としては先に来るべきだ」といった指摘のほか、「コミュニケーション能力など、留学に必要なスキルは留学前からのプロセスが必要で、クリティカルシンキングであるとかディスカッションスキルといったことは初等中等教育の段階から取り組んでいくべきことだ」との指摘があった。

 また各論では「日本人留学生について、大学の学部学生は短期留学でもできるだけ機会を与えるべきで、大学院生は将来の教育の国際化の核となるので、戦略的に海外の留学経験を積ませて学位取得をさせることで学校での英語教育を担う人材になっていくのではないか」「海外に出て研究活動を行う支援が薄く、研究者をグローバルな文脈で育てることへの支援が必要ではないか」「海外の大学において、日本の民間企業が採用目的で人材育成を連携して行っている例があるが、民間企業よりもリソースを持っている日本の大学が連携して行うことで、結果として日本国内への大学院進学や留学への誘致が可能になるのではないか」といった意見もあった。

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