児相の児童福祉司を増員へ 虐待防止対策総合強化プランを策定

児相の児童福祉司を増員へ 虐待防止対策総合強化プランを策定
iStock.com/BrianAJackson
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 児童相談所への児童虐待相談件数が過去最多となったことを受け、厚労省など関係府省庁連絡会議はこのほど、児童福祉司を2024年度までに約1000人増員するなど、児相や市町村の体制強化策を盛り込んだ「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を策定した。23年度から26年度までを同プランによる取り組み対象期間としている。

 厚労省の集計では、21年度に全国225カ所の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数(速報値)は20万7659件で、前年度比2615件(1.3%)の増加となり、2年連続で20万件を超え過去最多だった。また20年度に虐待を受けて死亡した子供も77人(前年度比1人減)いた。

 国では18年12月に決定した「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき取り組んできたが、全国の児相における虐待相談対応件数の増加傾向を背景に、9月2日の関係閣僚会議で22年度改正児童福祉法や、こども家庭庁の創設を踏まえた新たな総合的対策である「児童虐待防止対策の更なる推進について」を決定。この決定に基づき、児相や市町村の体制強化を計画的に進めていくため、今回新たなプランを策定した。

 同プランによると、児童虐待発生時に迅速で的確な対応を確保するとともに、家庭養育の推進、市町村の相談支援体制の強化を図るために、児童福祉司を現在の5780人から24年度をめどに1060人増員し、6850人程度にすることとした。さらに虐待で心の傷を負った子供へのカウンセリングなどにあたる児童心理司についても、現在の2350人程度から26年度をめどに950人増員し、3300人程度にすることとした。

 また児童福祉司の負担軽減に向けて、児童の一時保護の判断の際にAIを活用したシステムの導入や、児相の業務フロー全体の効率化を行っている先進事例の横展開を図ることのほか、メンタルケアなどによる環境改善で職員の職場定着を目指すとしている。

 市町村の体制強化については、「市区町村子ども家庭総合支援拠点」について、引き続き設置促進に向けて取り組み、その上で全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行う体制の強化を図るため、 22年改正児童福祉法で創設される「こども家庭センター」の全国展開を図っていくこととした。さらに民間団体との協働を進めるなど地域ネットワークのさらなる強化を図り、相談から支援へとつなぐサポートプランの活用や関係機関との連携強化を通じ、子供や家庭への支援にあたっての適切なアセスメントの実施を推進する。

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