教職員の精神疾患による休職者数が過去最多となる中、メンタルヘルス対策を進めるため、文科省は来年度から新たなモデル事業を始める。都道府県や政令市の教育委員会が選定したモデル校やモデル自治体を選定。専門家や民間企業と協力しながら、病気休職の原因分析や相談体制の充実などを通し、教員のメンタルヘルス対策に関する事例の創出や効果的な取り組みの研究を行う。
文科省は実施の背景として、「精神疾患による病気休職者数は5000人を超える高い水準で推移しており、また、全国的に教師不足の状況がある。病気休職者の増加は学校現場や児童生徒に対する教育への影響や、教職の魅力低下につながる恐れがある」と説明した。
具体的な取り組みとして、メンタルヘルス対策に関する情報共有や事業計画の立案など中心的な役割を担ってもらうために、自治体担当者や研究者などの専門家、学校管理職による関係者会議を設置するほか、精神疾患による病気休職者の事例などから、教員のメンタルヘルスが不調に陥る原因を分析し、施策の検討に役立てる。
さらに、精神科医や公認心理師、臨床心理士といった相談員を活用した相談体制の充実、ICT(心拍数の測定など)やSNS(オンライン相談など)を活用したメンタルヘルス対策を通して、域内の自治体・学校におけるメンタルヘルス対策のモデル事業の実施および効果検証を行う。
文科省初等中等教育局初等中等教育企画課によると、今後は交付先を公募し、文科省が5つの都道府県もしくは政令市を選定する。選定時期については、未定とした。