教員のメンタルヘルス対策 文科相、改善に取り組む姿勢示す

教員のメンタルヘルス対策 文科相、改善に取り組む姿勢示す
閣議後会見でメンタルヘルス対策の改善を進める姿勢を見せた永岡文科相
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 教職員の精神疾患による休職者数や休暇取得者数が過去最多となったことを受け、永岡桂子文科相は12月27日の閣議後会見で、「病気休職者等の状況は好転していない。一人で悩みや負担を抱え込まないようにするなど、教職員のメンタルヘルス対策を進めていく必要がある」と述べ、26日に文科省が発表した新たなモデル事業などを通して、改善に取り組む姿勢を明らかにした。

 文科省が12月26日に公表した『公立学校教職員の人事行政状況調査』によると、2021年度に精神疾患で休職した教職員数は5897人(0.64%)。前年度に比べ694人増加し、過去最多だった。1カ月以上の病気休職者数の合計も1万944人で、初めて1万人を超えた。

 永岡文科相は要因について、「個々のケースにより、本当に多様なので、一概には言えない」と述べつつも、「例えば、業務の質の困難化、教師間の業務量や内容のばらつきであるとか、またコロナ禍の児童生徒や教職員間のコミュニケーションの取りづらさであるとか、保護者などからの過度な要望や苦情、不当な要求などが考えられる」とした。

 さらに、「教員が疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないよう、これまでも各教育委員会に対して、学校における働き方改革の一層の推進に加えて、校長等によるラインケアやストレスチェックの実施など、メンタルヘルスの対策の充実、また、弁護士等による法務相談体制の整備などを求めたが、病気休職者数等の状況は好転していない」と強調。その上で、「改めて一人で悩みや負担を抱え込まないようにするなど、教職員のメンタルヘルス対策を進めていく必要がある」と述べ、改善に乗り出す姿勢を見せた。

 教員のメンタルヘルス対策を巡っては、文科省が26日、新たなモデル事業を来年度予算案に計上したと発表した。今後、同省が全国の都道府県や政令市から5団体に委託。委託を受けた団体はモデル自治体やモデル校を選定し、専門家や学校管理職などによる関係者会議を設置するほか、教員がメンタルヘルスの不調に陥る原因の分析、相談体制の充実などを通して、教員のメンタルヘルス対策に関する事例の創出や効果的な取り組みの研究を行う。

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