部活動の地域移行3年間にこだわらず 新ガイドライン公表

部活動の地域移行3年間にこだわらず 新ガイドライン公表
部活動の地域移行のガイドラインについて閣議後会見で発言する永岡文科相
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 2023年度から休日の公立中学校の部活動が地域移行されることに伴い、スポーツ庁と文化庁が策定した「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」が12月27日、公表された。今夏の有識者会議による提言では、当初23年度から3年を「改革集中期間」として移行のめどとしていたが、ガイドラインでは「改革推進期間」と改められ、3年間での地域移行を目指すものの、各地の事情に合わせてこの期間を越えて部活動改革を進めることを容認した。永岡桂子文科相は同日の閣議後会見で「部活動改革は将来にわたって生徒のスポーツ文化芸術活動の機会を確保するために大変重要で、多様な地域の実情に応じて段階的な体制整備を進められるよう幅広く関係者の声を聞きながら、文科省一丸となって取り組みを進めていく」と述べた。

 両庁では、少子化と教員の働き方改革の視点から中学校の部活動を地域に移行する方針を決め、有識者会議の提言を受け23年度から3年間を移行期間とした。ところが、これまで学校の施設を利用し、教員が指導していた部活動を地域移行するにあたっては、指導者、運営主体、利用施設の確保の問題が浮上。各自治体から25年度までには移行が完了しないとの意見が相次いだ。

 両庁は地域移行を進める上で、部活動の適正な運営や効率的・効果的な活動の在り方とともに、体制整備のために必要な対応をまとめたガイドライン案を公表すると、11月17日から1カ月間の間に980件の意見が寄せられた。この中には移行を前向きに評価する意見もあったが、「生徒や保護者の不安に丁寧に応え、教職員を含めた合意形成を図った上で移行すべき」、「教育資源の乏しい地方の立場を重視すべき」、「できるところが取り組む例であって、(移行が)義務でないことを明記してほしい」などとする意見もあった。

 これらの意見を受け、ガイドライン案では当初移行を達成する目標時期について、「23年度の移行開始から3年後の25年度末をめどとして想定し、この3年間を改革集中期間と位置付けて重点的に支援しつつ…」としていた部分を、「23年度から25年度までの3年間を改革推進期間と位置付けて支援しつつ…」とトーンを弱めて書き改めた。

 これについてスポーツ庁地域スポーツ課では「各自治体の検討準備状況がさまざまであり、さらに部活動指導員の活用を含めた地域連携の推進など地域によって多様な進め方が考えられ、休日の部活動の地域移行の達成時期として国としては一律に定めるよりはこの3年間を改革推進期間として位置付け、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すということを示した」としている。

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