官民一体で体験活動の充実へ 実務者会議が論点まとめを公表

官民一体で体験活動の充実へ 実務者会議が論点まとめを公表
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 企業などとの連携による子どもの体験活動を推進するため、文科省や教育委員会、企業や青少年団体などで構成された実務者会議は12月27日、これまでの議論を踏まえ、まとめた論点を公表した。文科省では今後、企業と教育委員会のマッチング強化や参加者のニーズに応える体験活動の構築に向けた施策を講じる。

 体験活動について論点まとめでは、「社会を担う子供たちにとって必要な資質・能力を育成することにつながるとともに、体験活動を提供する企業等の人々にとっても学びや気づきとなる有益な活動であり、これからも引き続き推進していく必要がある」と強調。

 現状について、少子化や子どもたちの生活の多様化、家庭環境の変化などにより、子どもの体験活動の場や機会が減少傾向にあることに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、人との密集や接触を伴う集団の体験活動は敬遠されているとした一方、家族キャンプやソロキャンプといったアウトドアレジャーが流行していることを踏まえると、安全に体験活動をしたいという人々のニーズは依然高いことがうかがえるとした。

 続けて、体験活動を推進するにあたっての課題を、▽「量」の確保▽「質」の確保▽「利用者」と「提供者」を結びつける仕組みの構築▽「利用者」の参加インセンティブの仕組みの構築▽「提供者」の参加インセンティブの仕組みの構築▽教育的価値の啓発――に分けて整理。

 このうち、「量」の確保については、体験活動が減少している状況を鑑み、学校や青少年教育施設、青少年教育団体だけでなく、企業の持つリソースも最大限に活用して、相互に連携しながら、社会全体で子どもの体験活動を推進していくことを求めた。また、経済状況が厳しい状況にある家庭の子どもや障害のある子ども、特定分野に特異な才能のある子どもなども体験活動に参加できるように配慮することが重要とした。

 多様な体験活動が求められるとした「質」の確保については、子どもたちの自発性を重視する場合は限られた知識や経験の中での選択にならないよう注意を促した。例えば、職場体験の場合、普段目にすることのない仕事の様子や大切さだけではなく、その仕事の面白さややりがいを伝えるなどさまざまな体験活動の魅力を示すことが必要とし、そのためには指導者の質の向上も欠かせないとした。

 「利用者」と「提供者」を結びつける仕組みの構築については、体験活動に関する情報サイトはいくつかあるが、それぞれが独立して発信しているため、利用者が必要な情報を入手しにくいとして、統一的なポータルサイトを設けるなど利便性の向上を求めた。また、地域学校協働本部などを受け皿にした推進拠点の設置に加え、体験活動の提案・調整を行うコーディネーターの確保と養成が必要とした。コーディネーターの候補には教職員経験者や企業経験者、青少年教育団体関係者などを挙げた。

 さらに、企業や青少年教育団体等と連携した子どもの推進方策について、▽短期的方策(1、2年程度)▽中期的方策(3年~5年程度)▽長期的方策(6年以上)――に分けて整理。短期的方策としては、体験活動に関する情報を網羅的に集約したポータルサイトの構築や企業などによるプログラム開発など。中期的方策として、地域拠点体制の整備と運営や指導者の確保、養成を挙げた。長期的方策では、これらを踏まえ体験活用のフォローアップや新たな推進方策の検討などを行うとした。

 子どもの体験活動を巡っては6月、末松信介前文科相が経済界と連携して取り組みを進める「子供の体験活動推進宣言」を発表。12月22日時点で332の企業や団体が宣言に賛同している。

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