1月14日から始まる大学入学共通テストについて、永岡桂子文科相は1月6日の閣議後会見で、前回の試験中にインターネットを通じて問題用紙を外部に送る不正行為や受験生が刃物で刺される事件が発生したことを受け、不正対策と安全対策の徹底を改めて求めた。その上で、これまでの勉強の成果が身を結ぶよう受験生にエールを送った。
前回の共通テストでは、試験中に撮影された世界史の問題用紙が、インターネットを通じて外部に送られ、事情を知らない大学生などが解答する不正が行われた。
これを受け、文科省は不正行為の防止対策を強化しており、昨年12月16日にも、各都道府県や政令市の教育長などに向けて、不正行為防止に関する周知を依頼。高校や大学、学習塾・予備校において注意喚起を行うことを求めた。
高校には、不正行為の取り扱いを含め、入試に必要な事項が記載された募集要項などを十分に確認することを求めた上で、試験期間中に使用してはいけない電子機器類(携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末、電子辞書、ICレコーダー、イヤホン、音楽プレーヤー)などを記載したリーフレットのリンク先を記した。
大学や学習塾・予備校に対しては、校内や塾内で掲示するためのリーフレットを新たに作成。「時間内に解答を返信してほしいなどの依頼に応じる」「SNS、匿名掲示板に投稿された問題に解答する」といった不正行為に関与してしまう例や、不正行為と知りながら協力することで刑事罰を科される可能性があるといった、関与することで生じる悪影響を記した。
また去年のテスト当日、東京都文京区の東京大学前で受験生ら3人が刃物で刺される事件が発生したことから、文科省は警備要員の確保や試験場周辺の巡回といった安全対策の徹底を大学入試担当部署などに呼び掛けているほか、警察庁にも、各大学から警察に対して相談があった場合における助言や安全対策に関する連携についての配慮を依頼している。
永岡文科相は会見で「公平公正に試験を受けていただきたい」と注意を促した上で、「体調管理をしっかりして、入試に臨んでいただければと思っている。今まで積み重ねて勉強してきた成果が、しっかりと発揮できることを心から願っている」と受験生にエールを送った。
共通テストは本試験が1月14・15日、追試験が同28・29日に行われる。