在外教育施設振興策の基本方針案を作成 意見募集

在外教育施設振興策の基本方針案を作成 意見募集
iStock.com/smolaw11
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 海外の日本人学校などに在籍する邦人の子供の教育機会を保障し教育環境を整備するため2022年に成立した「在外教育施設における教育の振興に関する法律」(在外教育施設振興法)に基づき、文科省などは国外施設における教育施策の総合的・効果的な推進に向けた基本方針案を作成し、1月10日、一般からの意見募集を開始した。同27日まで応募を受け付け、基本方針案に反映させるなどして正式に取りまとめる。

 在留邦人の子供の教育については、海外に設置された日本人学校などの教育施設で行われてきたが、法的な位置付けがなく、文科省と外務省によるさまざまな措置が取られてきた。そのため新型コロナウイルス感染症の影響などにより、在外教育施設を取り巻く環境が大きく変化する中で、そこで実施される教育を法的に位置付ける必要性が高まり、その振興を図る観点から22年に同法が成立。同法では「文部科学大臣および外務大臣は、在外教育施設における教育の振興に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(基本方針)を定めなければならない」と規定されていることから、このたび基本方針案が策定された。

 方針案では、まず基本的な方向として、在留邦人の子供の学びの保障、国内同等の学びの環境整備、在外教育施設ならではの教育の充実――の3点を掲げた。

 学びの保障については、在外教育施設振興法に規定する「在留邦人の子の教育を受ける機会の確保に万全を期すること」という基本理念を踏まえ、国としてより積極的に在留邦人の子の学びの保障を進めるという考え方や、国家戦略として在外教育施設の設立を支援する考え方を明確にすることが求められると指摘。

 国内同等の学びの環境整備については、日本人学校における設備や教材の整備が不十分であり、同法で国内と「在外教育施設における教育環境と学校における教育環境が同等の水準となることが確保されることを旨とする」と規定されたことから、人的・経済的、技術的な支援の充実に向けた考え方を明確にすることが求められる、とした。

 さらに同法で「在留邦人の子の異なる文化を尊重する態度の涵養とわが国に対する諸外国の理解の増進が図られるようにすること」と規定されており、在外教育施設ならではの教育の充実を図る観点から特色化を進めるための工夫や取り組みの普及、関係者や関係機関同士の連携促進についての考え方を明確にすることが求められるとしている。

 教育の振興に向けた具体的な内容については、「在外教育施設の教職員の確保」「在外教育施設の教職員に対する研修の充実」「在外教育施設における教育の内容および方法の充実強化」「在外教育施設の適正かつ健全な運営の確保」「在外教育施設の安全対策」「在外教育施設を拠点とする国際的な交流の促進」「調査研究の実施」などを列挙。

 このうち教職員の確保についての施策としては、日本人学校における義務標準法に準じた教員配置の計画的実現や、給与相当額を派遣元に支給する委託費の計画的な支給率の改善、在外教育施設で働く意義や経験者の活用事例などの広報・周知、在外教育施設における多様な人材の活用促進などを例示。教職員に対する研修の充実については、派遣教師や現地採用教師の事前研修・オンライン研修の充実、教員養成大学・教職大学院と在外教育施設との連携促進、所属元と派遣教師による明確な派遣目標の設定促進、在外教育施設における教育経験の国内学校への還元促進などを挙げた。

 教育の内容および方法の充実強化についても、在外教育施設同士をつなぐオンラインによるネットワーク構築の推進、日本人学校におけるGIGAスクール構想の実現、「選ばれる在外教育施設」づくりに向けた先導的な特色ある研究開発の支援、在外教育施設ならではの特色ある教育を推進するための柔軟な教育課程編成や柔軟な人事配置のさらなる推進――などを示している。

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