放課後の活動を考える学会設立へ 実践者と研究者がタッグ

放課後の活動を考える学会設立へ 実践者と研究者がタッグ
iStock.com/Milatas
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 子供たちの日常の放課後の過ごし方にスポットを当てる日本放課後学会(事務局:東京都足立区)が発足することが1月16日、分かった。放課後は学校外における子供たちの育ちに重要な時間でもあるにも関わらず、これまでそれぞれの事業者が個別に対応し、連携できていなかったとして、より有意義な過ごし方を研究と実践の両面から考えるのが設立の狙い。研究者やNPO、教育関係団体などが参加し、3月の設立大会を経て正式に発足する。

 同学会事務局では放課後の時間を学校の「課業」から離れた「子供たちの世界」と定義しており、小学生では夏休みなどの長期休みを含めると学校にいる時間は年間約1200時間に対して、家庭での就寝などを除いた放課後の時間は約1600時間にも上り、子供たちの生活や成長にとって大きな影響を与えていると指摘。一方で、放課後の過ごし方については放課後児童クラブや塾、習い事、部活動などさまざまで、それぞれが個別に運営され、放課後の過ごし方そのものを横断的に考えることができていなかったという。そこで今回、研究者と実践者が互いに協力しあって、子供たちのより豊かな放課後を実現するために学会を設立することとなった。

 その背景には近年、子供の貧困や孤立孤独、ヤングケアラーなどの放課後を取り巻くさまざまな問題がクローズアップされてきたことがあるという。ヤングケアラーにしても「習い事漬け」の子供たちにしても、放課後の過ごし方が家庭や生育環境に依存している現状を危惧。このような中で、学校教育とは異なった中間世界にある放課後を、子供たちがいかに快適に過ごしていけばよいのかについて、放課後に関わる大人たちが協力する必要性が生まれた。

 今後、同学会では「放課後」を広く横断的に捉え、団体などの垣根を超えて研究者と実践者が相互に協力し、実践者は自らの方針と活動のアウトプットを行い、研究者は実践者の方針と活動を客観的に検証していく。放課後児童クラブ、習い事、塾、家庭学習、プレイパーク、アフタースクール、放課後デイサービス、子ども食堂、部活動などを主な放課後の活動として取り上げる予定。

 設立発起人の特定非営利活動法人Chance For Allの中山勇魚代表理事は「本来、放課後は子供にとって自由で楽しい時間だったはず。連携して放課後が子供の育ちにとってどうあるべきかを考えていきたい」と話している。

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