中教審初等中等教育分科会のメンバーらが1月16日、「学びの多様化学校」(不登校特例校)に指定されている京都市立洛風中学校を視察し、生徒たちと意見交換した。続いて「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」との合同会議を京都市内で開催し、視察の内容も踏まえつつ、不登校やいじめ対策などについて議論した。委員からはマンパワーを拡充したり、多様な不登校支援の場を確保したりすべきとの意見が出た。
今回の視察は、2023年に施行された「こども基本法」で、子どもに関する政策を議論する際、子どもたちの意見を聞くことが国や自治体に義務付けられたことなどを踏まえ、不登校の当事者の声を今後の議論に生かす目的で実施した。荒瀬克己分科会長(教職員支援機構理事長)を含め、一部の委員が学校に足を運び、授業の様子を見学したり、生徒たちと意見交換したりした。
続いて行われた合同会議では、いじめ対策や不登校支援を強化する上で、マンパワーの不足を指摘する声が相次いだ。
神野元基委員(東明館中学高校理事長・校長)は、13年に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づき、いじめを幅広く捉えるようになったことを踏まえ、「軽度であってもいじめを認知した以上、私たちは全力で対応にあたらなければならない」と説明。「教員の数が変わらないとなると、それにあたるのが非常に難しい。人的リソースをどうするかというのが緊急的な課題なのではないか」と訴えた。田島健一委員(佐賀県白石町長)も「スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーといった専門性を持ったスタッフの配置拡充が重要だ。特に町村部ではこうした支援スタッフが不足しているので、十分な支援をお願いしたい」と注文を付けた。
学びの多様化学校に限らず、さまざまな選択肢の確保が必要性だとの意見も。視察に参加した白井智子委員(新公益連盟代表理事)は、洛風中学校のスタッフや教材が民間のフリースクールなどと比べて充実していたとの認識を示し、「非常に差がある状況で学んでいる。そのアンバランスさをどうするか」と問題提起した。吉田信解(しんげ)委員(埼玉県本庄市長)は「公立だけでなく、不登校支援に乗り出す私立学校も増えるといい。私立の動きを国全体で促すことも重要ではないか」と述べた。