岸田文雄首相が掲げた「異次元の少子化対策」を検討する政府の「こども政策の強化に関する関係府省会議」の初会合が1月19日、開催された。昨年の出生数が80万人を割ることを見据え、少子化対策を最重要課題とする岸田首相が年頭に設置を指示した同会議。こども家庭庁発足前の3月末をめどに具体策のたたき台をまとめ、この内容を踏まえて国は岸田首相のもと議論を深め、6月に閣議決定予定の「骨太の方針」までに将来的な子供予算の倍増に向けた大枠を提示する予定。
小倉将信こども政策担当相は会議の冒頭で、「わが国にとって今や少子化は最大の課題となっている。先進各国ともに少子化に直面し、その抜本的な解決は簡単ではないが、子供や子育て世代を支援し少子化を解決することは、社会の存立を左右する最も大切な未来への投資と考えている。省庁の垣根を越えて政府一丸となって、いまだかつてない踏み込んだ大胆な少子化対策に関するたたき台を作っていきたい」と述べた。
岸田首相は今月4日の年頭会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べ、今年の重点施策として少子化対策を景気回復に向けた経済政策とともに位置付けた。同会議の設置を指示し、基本的な検討事項として▽児童手当を中心とした経済的支援の強化▽幼児教育・保育サービスの強化および全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充▽働き方改革の推進とそれを支える制度の充実――を示した。同会議は小倉担当相が座長を務め、内閣府、総務省、文科省、厚労省、国交省、財務省の各局長級が参加している。
この日の会議では、政府の全世代型社会保障構築会議が昨年12月に取りまとめた報告書のうち、今回の議論に近い少子高齢化・人口減少時代を踏まえて描いた将来の方向性などについての内容を、改めて清家篤・同会議座長が報告した。続いて出席者からの意見表明に移り、「保育の現場が昨今のいろいろな事件もあり、どうしても職場がネガティブに捉えられがちだが、保育など子供に関わる職種が楽しいといったモチベーションを上げていくことも必要ではないか」「未就園児の子育てについて、どのようなサポートがあるのか関心が高くなっている」「障害や疾病を抱えている子供や社会的養護の子供など、支援ニーズのある子供への配慮も重要ではないか」「経済的な負担という意味では教育費の問題も避けて通れないのではないか」「育児休業の制度はあるが、職場レベルで考えると休んだ人の分を働かなければならないといった負担感が広がって負のスパイラルになっていくということではなく、ある意味お互いさまといった雰囲気の醸成も重要ではないか」など、さまざまな意見がでた。
同会議は今後2月から3月にかけて有識者や子育て当事者からそれぞれのテーマに沿ったヒアリングを重ね、3月末をめどに議論のたたき台をまとめる予定としている。