小中学校などでの深刻ないじめの実態を受け、政府全体としていじめ防止対策に取り組むための関係府省連絡会議(第2回)が2月2日、オンラインで開かれた。前回の会議で早期に検討すべきとされた項目として挙げられた、学校と警察との連携強化や児童生徒への指導・支援の充実など留意すべき事項が確認され、学校設置者と学校に徹底を求めることになった。合わせて今後、生命や身体にかかわる重大事態への対処の在り方についても、情報の共有などに国の関与を強める方向性案が示された。
文科省調査で小中学校のいじめの発生件数が2021度は705件となり、対策に急を要する状況となっているとして、各府省横断的にいじめ防止の課題を共有し、対策を検討するため設置された関係府省連絡会議。内閣官房こども家庭庁設立準備室、文科省、内閣府、警察庁、総務省、法務省、厚労省、経産省で構成され、昨年11月の第1回会議で、早期に対応すべき14項目がリストアップされた。
第2回会議のこの日に了承されたのは、年末年始をめどに対応すべきとされていた学校と警察との連携、被害児童生徒のケアや加害児童への指導、保護者と学校がいじめ防止対策を共有するための普及啓発策などの徹底を求める内容について。
このうち、警察との連携については重大ないじめ事案や犯罪行為として取り扱われるべきと認められる場合、学校はいじめ防止対策推進法に基づいて直ちに警察に相談・通報し、適切に援助を求めなければならない、また学校のみで対応するか判断に迷う場合でも被害児童生徒や保護者の安心感につながる場合もあることから、同様の措置を取ることを求めた。さらにインターネット上でのいじめも増加していることから、わいせつ画像拡散などの被害を防ぐためにも、直ちに警察へ相談・通報することとした。
児童生徒への指導・支援については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、医療機関と協力しながら、被害の拡大や2次的な問題の発生を防ぐとともに、不登校の場合には学習面での十分な支援に留意するよう求め、加害児童生徒に対しては、教育的配慮のもと毅然とした態度で指導・対応し、背景に虐待や発達障害がある場合には適切な支援を実施するとともに、外部の専門機関を活用することも有効としている。保護者に対しては、日ごろからいじめ事案発生の際の対応について学校と情報共有しておく必要性を指摘。重大事態が起きた場合には、警察との連携をあらかじめ保護者に周知しておくことが重要であるとした。
一方、この日示された重大事態の対処の在り方等に関する新たな方向性案では、これまで各地で重大事態が発生し処理される過程で、助言に必要な情報が国に集約されてこなかったと分析。重大事態認定時や調査の着手時、終了時には国へ報告するなど、情報共有や状況把握の仕組みを作り、第三者性を確保した助言を充実させるほか、事案の分析を政策立案につなげていけるような体制構築を目指すこととされている。この方向性案については、3日に開催される文科省のいじめ防止対策協議会で詳しく議論される見込み。