教員による児童へのいじめ 滋賀県野洲市教委が検証報告

教員による児童へのいじめ 滋賀県野洲市教委が検証報告
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 学級担任から特定の児童に対して不適切な言動が相次いで起きたのを受けて、滋賀県野洲市は2月2日、これらの市立小学校の教員による「いじめ」に関する検証報告書を公表した。報告書では、2つの不適切な行為のいずれも、学級内で起きていることの対応が「担任任せ」「学年任せ」になっていたと指摘。教員が特定の児童生徒を揶揄(やゆ)したことがきっかけで、それを見聞きした他の児童生徒にも「自分たちも他者を揶揄してよいという雰囲気」が広がるとし、こうした児童生徒の人権侵害は他の学校でも起こると警鐘を鳴らしている。

 報告書が検証した不適切指導は2つあり、一つは2021年11月に市立小学校の4年生の担任を務めていた臨時講師が、校外学習でのバスの移動中、複数の児童が視聴していたアニメ映画の登場人物を学級内の児童に例える遊びをしていたとき、被害に遭った児童が「自分はどの登場人物?」とこの教員に尋ねたところ、映画の中でマイナスイメージを与えるキャラクターの名前を挙げたことがきっかけで、その後1カ月にわたり他の児童からそのキャラクター名で呼ばれたり、からかわれたりしていた。昨年1月に保護者からの訴えでこのいじめが発覚したが、この教員は自分の発言がいじめの発端になったと認識していなかった。

 もう一つは、昨年5月ごろに、同じ市立小学校の小学2年生の担任と学年主任を兼務していた教諭が、学習中や学級での指導中にいろいろな質問をする被害児童に対して「君は本当に言葉を知らんな。一番言葉を知らんな」と週に2、3回の頻度で発言を繰り返し、学習に直接関係のない被害児童の発言に対しても「〇〇君(被害児童)の言うことは、スルー(無視)しよう」などの発言をしていた。これにより、学級の他の児童が授業中に、被害児童の発言に対して「スルーしよう」と言うようになった。さらに1学期末の個別懇談会では、被害児童の保護者に対して自分の主観的判断で「(被害児童は)ADHD(注意欠陥多動性障害)なので発達検査を受け、服薬するよう」と伝え、保護者を不安にさせた。

 報告書では、2つの不適切な行為のいずれも、学級内で起きていることの対応が担任任せ、学年任せになっており、いずれも被害児童の保護者の訴えがあるまで事態の内容を把握できておらず、その報告も担任の判断に任されていたことから、解決に向けた組織的な対応ができていなかったこと、学年や同僚間でどんなことでも相談し合える教職員集団になっていなかったことなどを組織的な課題として挙げ、教員が特定の児童生徒を揶揄してしまうと、それを見聞きしている子供たちの中にも、自分たちも他者を揶揄してよいという雰囲気が生じてしまうと批判。こうした児童生徒の人権侵害は他の学校でも起こる可能性があると指摘した。

 再発防止策として、教職員のための相談体制の構築や複数の目で学校内の情報を収集する体制づくり、学級における複数指導体制の推進などを提言した。

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