いじめ防止対策の強化を検討している文科省の「いじめ防止対策協議会」の第4回会合が2月3日、オンラインで開催され、政府のいじめ防止対策に関する関係府省会議が早期に対応すべきとした重大事態の対処策に関連し、国が積極的に調査状況や課題の把握に乗り出すことなどを盛り込んだ方向性案が示された。年度内をめどに議論を取りまとめ、学校設置者などに周知する予定としている。
昨年11月から開催されている政府の関係府省会議が提起した、いじめ防止対策強化で早期に着手すべきとした14項目のうち、この日は児童生徒の生命や身体に関わる重大事態への調査など、対処策についての方向性案が提示された。
それによると、これまで文科省のいじめ問題対策は「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」や「不登校重大事態に係る調査の指針」に基づいて行われてきたが、重大事態の処理過程において助言に必要な情報が国に集約されていなかったとされたほか、事態調査の遅れが被害児童生徒や保護者に不信感を抱かせるケースがあったと分析。その際に、調査結果を受けた再発防止策が策定されたものの、その後の国の政策立案につながっていなかったとされた。
方向性案では重大事態への対応を改善する仕組みを強化し、事態の分析を国レベルの対策へとつなげる体制を構築することを目的として、事態の認定時や調査着手時の国への報告、調査終了後の報告書の共有など、学校設置者に国への情報集約を求めた。また、国が進行中の全国の事案の対処状況や課題を把握するとともに、文科省による助言の充実、専門家による第三者性の確保に係る助言の強化も目指す。その上で、いじめの重大化を未然に防ぐために全国で発生した事案の分析を行い、政策立案に活用するとしている。
いじめ問題に対しては、具体的には4月以降、新たに発足するこども家庭庁と文科省で対応し、重大事態に関する情報を共有し調査などに連携して対応することとなっている。重大事態の発生時に文科省は、学校設置者から状況の報告を求め必要な助言や支援を行うとともに、こども家庭庁に設置されるいじめ調査アドバイザーが調査の第三者性の確保について助言を行い、関係機関と連携して対応の改善を図るとしている。さらに調査開始時には、文科省が教委や自治体に対して調査の開始日や調査委員の確保などについて報告を求めて進捗(しんちょく)の確認を行い、こども家庭庁とも情報共有し調査の適切な運用を図る。
また調査結果の取りまとめでは、調査委が作成した報告書を文科省とこども家庭庁が連携して分析し、事例を蓄積することで、その後の調査に役立てるほか、新たな政策の立案につなげることとしている。このように調査の発生から分析までの流れの中で、文科省とこども家庭庁が連携を進めることで、いじめ防止対策の強化を図る。