子供のメンタル不調を早期発見 健康観察アプリを無償提供

子供のメンタル不調を早期発見 健康観察アプリを無償提供
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 不登校児童生徒数の増加が問題となる中、医療相談のアプリ開発や企画などを行っているリーバー(茨城県つくば市)はこのほど、子供たちのメンタル不調を早期に発見し、保護者と学校で情報を共有できるサービス「こころの健康観察 メンタルヘルスチェック(β版)」の無償提供を開始したと発表した。同社は「いじめや不登校の予兆を把握するために有効だと考える」と説明する。

 同社は、24時間365日スマートフォンで医師に相談ができる「遠隔健康医療相談」と、日々の体温・体調などを記録する「健康観察」のサービスを提供。同社によると、「健康観察」サービスはこれまでに33自治体の1600校が使用しているという。

 コロナ禍における子供と保護者の生活と健康の現状を把握し、問題の早期発見や予防・対策につなげようと、国立成育医療研究センターが実施している「コロナ×こどもアンケート」で、昨年3月に公表した第7回の結果によると、小学5~6年生144人、中学生の89人、高校生60人を対象に、うつ症状の重症度尺度を用いて、こころの状態を調査したところ、小学生の10%、中学生の22%、高校生の23%に中等度以上のうつ症状があったという。

 また、保護者1148人に抑うつ状態の子供の描写を読んでもらい、「自分の子供が同じ状況だった場合、どのような考えが思い浮かぶか」と尋ねたところ、「どこの病院を受診したらよいのか分からない」が36%、「受診が必要なのか分からない(様子をみてもいいのではないかと思う)」は31%と、約6割の保護者が判断に迷う現状がうかがえた。

 これらの背景を受け、同社では子供のメンタル不調を早期に発見し、学校と保護者で情報を共有。

 いじめや不登校などの予兆の把握につなげようと、健康観察アプリを活用した「こころの健康観察 メンタルヘルスチェック」の実用化に向けた実証実験の一環として、β版の無料提供を始めた。

子供のメンタル不調の早期発見につなげるアプリ(リーバー提供)
子供のメンタル不調の早期発見につなげるアプリ(リーバー提供)

 同社によると、児童生徒の心に関する話題はセンシティブなため、教員側からなかなか介入できない現状が、学校との聞き取り調査の際にうかがえたという。そのため、このサービスでは精神科医の監修の下、実際に医療現場で用いられている指標を参考に、「落ち込んで沈んでいたり、涙ぐんだりすることがよくある」や「寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠り過ぎてしまう」など心の状態を確かめる25項目の質問を設定。スマートフォンなどを使って保護者が回答することで、学校と保護者で児童生徒の心の状態について、共通理解を図れるだけでなく、保護者にとっては子供の気持ちの変化や行動特性に気付くきっかけになるという。

 現在、同社の提供する体温や体調を記録するアプリを使用している63校が先行利用しており、担当者は「実証段階ではあるが、児童の心のサポートという観点で、保護者と学校にとっていい関係づくりにつながってほしい」と話した。

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