4月から自転車運転時のヘルメット着用が努力義務化されることを受け2月15日、埼玉県立熊谷高校(加藤哲也校長、生徒954人)の生徒会役員が埼玉県警とのPR動画撮影に挑んだ。8人の生徒が日常シーンやメッセージなどを通して、自転車乗車時のヘルメット着用の重要性をアピール。3月に動画投稿サイト「YouTube」などに公開される予定。
埼玉県警によると、同県内の2021年の自転車事故による人身事故件数は4880件。死亡者数は交通事故による死亡者全体の約3割に当たる34人で、全国最多だった。また、死亡した全員が運転時にヘルメットを着用していなかったという。
これを受け、埼玉県警は利用者の多い高校生からヘルメット着用の機運を高めようと、昨年9月に「自転車ヘルメット着用モデル校」の指定を開始。現在は熊谷高校のほか、▽県立三郷高校▽県立所沢商業高校▽県立桶川高校▽埼玉栄中学・高校(さいたま市)――の計5校に委嘱している。
今回、熊谷高校に白羽の矢が立った理由について、埼玉県警交通総務課の中村聡課長補佐は「自転車通学者が多いことに加え、積極的に活動しており熱意を感じた」と説明する。同校は生徒の9割が自転車通学。モデル校になって以降、JAF(日本自動車連盟)を講師に招いた出前教室を行ったほか、生徒会がヘルメット着用のプロモーション動画を独自に制作し、YouTubeで公開している。
この日は、1、2年生の生徒会役員8人が参加。ヘルメットを着用しての自転車下校や、「カチッと」の声とともにヘルメットを着けるシーンのほか、「救える命がある」「命を守る自転車ヘルメット」といったメッセージも撮影した。
同校生徒会長の井上晴太さん(2年)は「1人ずつヘルメットを着用するシーンが緊張した。熊谷高校だけでなく、他の場所にも広がるきっかけになってほしい」と話した。同県教育局県立学校部保健体育課の関口衛指導主事は「努力義務化を機に事故を減らしたいという思いがある。高校生のパワーは推進の発信源になる」と期待感を示した。
今月13日には、埼玉栄中学・高校でも同様に撮影。2校のシーンをまとめて30秒程度の動画にする予定で、3月中旬の完成を目指している。埼玉県内の商業施設などに設置された大型ビジョンで放映されるほか、埼玉県警の公式YouTubeチャンネルでも公開される予定。