第5次子どもの読書活動の推進基本計画案まとまる パブコメ募集

第5次子どもの読書活動の推進基本計画案まとまる パブコメ募集
iStock.com/patpitchaya
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 子供の読書活動の推進に関する基本方針と方策をまとめた「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(第5次基本計画)」案について、文科省は一般からのパブリックコメントの募集を行っている。同計画は2023年度から向こう5年間の子供の読書活動推進施策の指針となる。パブコメの締め切りは3月1日。

 国は「子どもの読書活動の推進に関する法律」(2001年成立)に基づき、おおむね5年に一度、同計画を策定。22年度は18年度4月に策定された現行基本計画の最終年度となることから、文科省で有識者会議を設置し、次期計画の策定に向けて検討を進めてきた。

 今回まとめられた第5次基本計画案では、子供の読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであり、社会全体でそのための環境の整備を推進していくことは極めて重要、と指摘。第4次計画以降、視覚障害者などの読書環境の整備の推進に関する法律の制定や第6次「学校図書館図書整備等5カ年計画」の策定などを通じ、子供の読書環境の整備が進められている一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、GIGAスクール構想による学校のICT環境の整備により、子供たちを取り巻く環境が大きく変化しており、子供の読書活動にも影響を与えている可能性があると分析された。

 計画案では、基本方針として「不読率の低減」「多様な子供たちの読書機会の確保」「デジタル社会に対応した読書環境の整備」「子供の視点に立った読書活動の推進」の4点を掲げた。

 「不読率の提言」では、全ての子供たちが本に接することができるようにすることが重要として、乳幼児期から中学生までの読書習慣の形成を促すとともに大人への過渡期にある高校生が読書の必要性を感じ、主体的に読書に興味・関心を持てるような取り組みの推進を図る必要があるとした。

 「多様な子供たちの読書機会の確保」では、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒、小・中・高校の通常の学級に在籍しながら通級による指導を受けている児童生徒が増加していることや、特定分野に特異な才能のある児童生徒の存在、相対的な貧困状態にある子供たちの存在などを前に、それぞれに対応した取り組みを行うことが重要と指摘。

 「デジタル社会に対応した読書環境の整備」ではGIGAスクール構想が進展していることを背景に、多様な子供たちの読書機会の確保、非常時における図書への継続的なアクセスを可能とするために、電子書籍の利用や学校図書館のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める必要があるとした。

 「子供の視点に立った読書活動の推進」では子供が好きな本を選択し、好きな時間に、好きな場所で、主体的に読書活動を行えるようアンケートやさまざまな方法で子供の意見聴取の機会を確保し、多様な子供の意見を取り組みに反映させるなど、子供の視点に立った読書活動の推進を行うことが重要としている。

 その上で、国は子供の読書活動の推進に関する施策を総合的に策定して実施し、地方自治体は国との連携を図りながら、その地域の実情を踏まえ、子供の読書活動の推進に関する施策を策定して実施するよう求めた。また、国と地方自治体は、子供の読書活動の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、学校、図書館その他の関係機関および民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備を図ることとした。

 さらに推進方策としては、家庭や地域、学校、民間団体などが認識を共有して連携して取り組むことが重要であるとした。このうち家庭に関しては、読書が生活の中に位置付けられ継続して行われるよう、保護者は子供の読書活動の機会の充実および読書活動の習慣化に積極的な役割を果たしていくことが求められ、具体的には、読み聞かせをしたり、子供と一緒に本を読んだり、図書館に出向いたりするなどして子供が読書に親しむきっかけを作ることが望ましいとした。

 地域については、読書活動の推進主体として図書館に焦点を当てた。図書館は書籍ばかりでなく多様なサービスを提供する施設としてその充実が求められ、一方で家庭でも学校でもない落ち着ける空間として見直されてきており、子供たちが立ち寄りやすく心地よい場所とすることで本に触れるきっかけが生まれることも期待されている。

 学校においては、学校図書館の重要性を強調。学校図書館は学校教育に欠くことのできない基礎的な設備であり、児童生徒の主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善にも効果的に生かすことが期待されており、各教科の習得、活用、探究の過程の中で豊富な資料や情報が有益であるとした。教師や学校司書が連携し、学習課題に対応した図書の充実や図書館を利用した効果的・効率的な情報収集の方法について積極的に発信することは、読書活動の推進に資するとしている。

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