回転ずしチェーン店などでの迷惑動画が社会問題化する中、日本リスクコミュニケーション協会ではこのほど、学生らがSNSを利用する際に注意する事項などをまとめた「SNSリスク教育資料」を作成し、学校や教育機関向けに無償での提供を始めた。
飲食店で撮影した不衛生な行為など、迷惑動画のアップが続いている。このような迷惑動画は飲食店側に営業上の甚大な被害を負わせると同時に、投稿した側も多額の損害賠償責任などのリスクを負うことになる。さらに動画に写って迷惑行為を行った本人も特定され、取り返しのつかない事態にもなっている。友人に見せるために送ったつもりの動画が知らぬ間に拡散し、炎上してしまうこともしばしばある。同協会ではインターネットやSNSがいまや生活に欠かせぬツールとなっている中で、学生たちにSNSに関して正しい知識を持ち、適切な運用を心掛けてもらう目的で今回「SNSリスク教育資料」を作成した。
同資料はワークショップ形式で、利用者自らにシーン別に考えてもらい、SNSは使い方によって自らとその家族、周囲の人々がリスクを負う可能性があることを理解してもらうことをゴールとしている。ワークショップでは最初に、最近の迷惑動画に多い、レストランでいたずらする様子を撮った動画をSNSにアップした場合に何が起きるかを考えさせる。動画が炎上した場合、風評被害を受けて営業上の損失を受けたレストランから損害賠償請求を起こされることを説明。動画を削除してもネット上に残るため、将来的に投稿者自身が影響を受ける可能性も示唆した。さらに誹謗(ひぼう)中傷などの文言を発した場合にどうなるのかなども考えさせ、場合によっては罪を犯すことになると注意を喚起。
また、投稿する際に気を付ける点についても考えさせ、「目の前にその人がいても同じことが言えるか」など、いったん立ち止まってその光景を想像することを求め、表現の自由に伴う責任についても触れている。
同協会では「今はSNSを使わないで生活していくことはできず、不適切な使用をした場合に炎上などのトラブルに巻き込まれるリスクは常に存在する。学校現場はもちろん家族の中でも話し合うきっかけになれば」と話している。
「SNSリスク教育資料」はこちら。