ルータ使用の具体例を提示 会計検査院からの指摘事業で文科省

ルータ使用の具体例を提示 会計検査院からの指摘事業で文科省
iStock.com/Seremin
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 児童生徒が家庭で端末を使って学習するために自治体が貸し出すモバイルWi-Fiルータの購入費用を補助する、文科省の「家庭学習のための通信機器整備支援事業」で昨年、会計検査院から6割以上のルータが未使用だったと指摘されたことを受け、文科省はこのほど、使用促進のための活用方法をまとめて各都道府県教委に事務連絡を出した。家庭学習での使用を求めると同時に、その他の場面での活用も促している。

 この事業は、コロナ禍で学校が休校となった場合に、児童生徒が自宅でオンライン授業などを受けられるようにするため、経済的に厳しい家庭に対してルータを貸与する目的で始められた。しかし、会計検査院が行った抽出調査で、2020年度から整備されたルータのうち、21年度末までに約6割が一度も貸与されていなかったことが判明。指摘を受けた文科省でも全国の市町村を対象に調査したところ、同様に65%のルータが未使用と分かった。その要因として76%の自治体が「貸与希望が想定より少なかった」と回答したという。会計検査院では文科省に対し、家庭学習以外での活用事例を周知することなどを提言していた。

 そのため今回の事務連絡では、当初想定された家庭学習での使用を阻害しない範囲で、その他の場面でも「可能な限り柔軟な対応」ができるようにした。文科省が自治体に対して行った調査を基に具体的な場面を明らかにするとともに、積極的なルータ使用を呼び掛けている。

 事務連絡では、家庭学習、家庭学習以外の場面に分けてルータの活用例を示した。家庭学習においては、オンラインでの連絡や課題の配布・回収、調べ学習、学習動画の視聴、電子書籍による読書、長期休業中の自由研究のフィールドワークなど、自宅以外でも入院した病院・親類宅・児童養護施設・シェルター(DV避難先)などでの学習を例示した。

 家庭学習以外での学校・児童生徒・教職員の活用例としては、校外の遠足・修学旅行・社会科見学、部活動の試合、運動会や文化祭など学校行事の動画配信、オンライン会議、院内学級、フリースクールにおける学習などでの使用のほか、PTA関係の行事、貸し切りバス内での活動――など幅広い活用例を挙げている。このほか公立幼稚園での活用、各学校を巡回しているスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーへの貸与、災害時に指定避難所となっている学校で避難者に臨時的に貸与することなども盛り込んでいる。

 文科省初中局修学支援・教材課では「具体例を参考に積極的なルータの活用をお願いしたい」と話している。

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