国民のICTの活用リテラシーの向上施策を議論している総務省の検討会は3月3日、第5回検討会をオンラインで開き、ICTの活用リテラシーとして身に付けるべき能力の目標水準の素案について協議した。素案では身に付けるべき能力を4段階で示し、青少年は現状の「自分自身でデジタル技術を利用できる」レベル2の段階から、「基礎的なリテラシーを一通り理解」するレベル3を目指すべきだとした。
素案ではICTの活用リテラシーとして身に付けるべき能力を▽データや情報、デジタルコンテンツを検索、評価、管理する能力▽デジタル空間において安全を確保する能力▽デジタル技術を通じて他者や社会と関わる能力▽デジタルコンテンツの作成・編集に関する能力▽デジタル技術の利用にあたっての課題解決やデジタルツールを用いた課題解決に関する能力――の5つに分類。それぞれの能力の習熟度の度合いを①人に助けてもらえればできる②自分自身でデジタル技術を利用できる③基礎的なリテラシーを一通り理解④デジタル空間の公共性を踏まえてデジタルを生活の中で使いこなす――の4段階のレベルで整理した。
青少年や子育て層の多くは、現在はレベル2の「自分自身でデジタル技術を利用できる」にいるとし、当面目指すべき水準としてレベル3の「基礎的なリテラシーを一通り理解」に引き上げる。最終的に高齢者も含めて、全世代の国民がレベル3になることを目標に掲げた。
合わせて検討会では、今年夏をめどに今後の取り組みを整理したロードマップを取りまとめる方針で、中長期的に取り組む事項として、各層ごとの特徴を踏まえた教材開発や教える人材の育成なども盛り込まれる見通し。
素案について、この日の会合では、弁護士の上沼紫野構成員が「身に付けるべき能力の目標水準かロードマップのイメージのどちらが適切なのかは分からないが、5つの能力ごとの重点項目は、ジェネレーションによって違うのではないかと思われる。到達レベルにもう一次元足して、能力とレベルの相関関係も今後の視野に入れてほしい」と要望した。
また、ロードマップで示された教材観について、東京国際工科専門職大学工科学部教授の齋藤長行構成員は「今回の取り組みというのは、いわゆる教材を開発して実践していくノンフォーマルラーニングの研修型。教材を使って学ぶ・教えるスタイルの啓発教育をデザインしている。それはそれで結構だが、学習者主体で考えると『教えられる』ではなくて学ぶ存在なので、学びの環境を考える必要がある。集合型の研修やウェブ教材の研修だけではなく、いろいろな形の学びがあると思う」と述べ、学習者が主体となった教材・教育も検討する余地があると指摘した。