徳島県上板町立高志小学校(中川斉史校長、児童数121人)の児童が3月6日、カンボジアの日本人学校とメタバース空間で交流した。子供たちの国際交流と学びの可能性を検証する実証実験の一環として実施。6年生の児童18人が自身の分身であるキャラクター(アバター)を使って、会話したり、地元を紹介したりしてコミュニケーションを楽しんだ。
この取り組みは、印刷大手「大日本印刷」(本社:東京都新宿区)と学校向けのワークショップを開発・展開する「steAm」(本社:東京都港区)が共同で行った。両者はICT教材の需要の高まりや、学習者が主体的に学ぶ「アクティブラーニング」が注目される中で、メタバース空間を使った国際交流による学びの可能性を検証。大日本印刷は背景について、「パソコンやスマートフォンのブラウザで利用できるメタバース空間の活用は、海外の交流における場所の確保や通信環境の整備といった課題の解決につながる」と説明する。
国際交流は2月に続き2回目。大日本印刷が構築し、京都市が提供しているメタバース空間「京都館PLUS X」を活用し、高志小学校とカンボジアのプノンペン日本人学校を接続。児童たちは自分で選んだアバターをメタバース上で自由に動かしながら、マイクを使って会話を楽しんだ。
1回目はメタバース空間を提供している京都市が「京都館PLUS X」や京都について紹介したほか、両国の児童がそれぞれの地元を手作りのポスターを使ってプレゼンテーション。高志小学校の児童は徳島県を代表する伝統芸能「阿波踊り」や観光名所である「かずら橋」や「うだつの町並み」といった魅力をアピール。プノンペン日本人学校の児童も世界遺産アンコールワットをはじめ、伝統料理などを紹介した。今回はプレゼンテーションに関して、互いに感想を述べたり、質問に答えたりして、それぞれの地域への理解をより深めた。
参加した児童からは「アバター同士の距離次第で声が聞こえないなど、臨場感を味わえた」「離れた国と交流ができ、身近に感じられた」「アバターの方がリアルな映像よりも話しやすい」といった感想が上がったという。大日本印刷は今後も「子どもたち自身が設定した問いに沿った交流などについて、メタバース空間を活用して継続的に支援したい」としている。