永岡桂子文科相は3月7日、参議院文教科学委員会で文教政策の方針についての所信を明らかにした。喫緊の課題とされる教員の働き方改革について、「質の高い教育を実現するため、教職員が安心して本務に集中できる環境づくりや、質の高い教師の確保に全力で取り組む」として、近く公表される勤務実態調査の結果を踏まえて「給特法等の枠組みを含めた教師の処遇等の在り方を検討する」との考えを改めて表明。将来の予測が困難な時代においても、「子供たち一人一人が自ら個性を磨き、創造性を伸ばし、国際社会で活躍できる心豊かな国民に成長するよう、教育振興、教育投資の充実に努めていく」と決意を述べた。
永岡文科相はまず、初等中等教育について、「令和の日本型学校教育の実現のためには、学習指導要領の下での個別最適な学びと協働的な学びとの一体的な充実が不可欠で、デジタルと対面での実体験の最適な組み合わせにより、子供たちの学びを充実させることも大切」と指摘した。
次に、教員の働き方改革を推進する考えを強調した。質の高い教育を実現するために、「教職員が安心して本務に集中できる環境づくりや、質の高い教師の確保に全力で取り組む」として、「小学校における35人学級の計画的整備」「小学校高学年の教科担任制の推進」「多様な支援スタッフの充実による指導体制の一層の整備」「校務DXの加速」など、学校における働き方改革の項目を挙げた。加えて「今春速報値を公表する勤務実態調査の結果等を踏まえ、給特法等の法制的な枠組みを含めた教師の処遇等の在り方を検討する」とし、給特法の見直しに取り組んでいくことも確認した。教員研修の高度化、特別免許状の活用などによる多様な人材の教職への登用促進、強みや専門を身に付けることと両立する教職課程の特例開設を含む「教師の養成・採用・研修の一体的な改革」を進める考えを説明した。
現在進められているGIGAスクール構想について、「端末更新の時期を見据えつつ、全国の学校が1人1台端末を当たり前のツールとして活用できるよう、運営支援センターの機能強化や好事例の創出・展開を図る」と、端末更新を巡る国と地方の費用負担について検討を進める考えを示唆。同時に、デジタル教科書の普及促進により、児童生徒の学びの充実を進めていく姿勢をみせた。
続いて永岡文科相は「誰もが学ぶことができる機会の保障」に向けた取り組みを説明。「さまざまな課題を抱える子供たちを誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出すことが極めて重要。こども家庭庁と連携しながら、こども・子育て政策の充実を進める」と述べた。
昨年度、不登校児童生徒が約30万人と過去最多になったことに触れ、「不登校特例校の設置促進等全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、課題を抱える児童生徒の兆候の早期発見・早期支援、安心して学べる学校づくり等について検討を行い、本年度内に実効性のある対策を取りまとめる」とした。
障害のある児童生徒への通級による指導や病気療養児へのICT活用、医療的ケア児への支援など特別支援教育の充実を図るとともに、貧困、虐待などの困難を抱える児童生徒、特異な才能のある児童生徒、へき地の児童生徒についても、それぞれの教育的ニーズに答える学びの場を提供するとした。
深刻化するいじめの問題についても「決して許されるものではない」として、早期の組織的対応の徹底、警察等の関係機関との連携強化、総合教育会議の活用や首長部局との連携・協力の必要性を周知する考えを説明。いじめの重大事態に対しては「関係府省と連携して状況把握や助言など必要な施策を講じていく」との姿勢を取った。
文部科学行政は、「人」を育み、「人」の英知や創造力を最大限引き出すことにより、国民の人生を幸福で豊かなものにし、わが国の成長の源泉ともなるものであり、極めて重要であると考えています。
新型コロナの感染拡大から約3年たちました。今後とも基本的な感染対策を講じながら、学校において子供たちが生き生きと生活を送れるよう、着実に歩みを進めていきます。
いつの時代も、教育は国家、社会の礎(いしずえ)であり、発展の原動力です。現在、次期教育振興基本計画策定に向けた議論を進めています。また、本年5月には、G7富山・金沢教育大臣会合が開催されます。これらの議論を元にしつつ、将来の予測が困難な時代においても、子供たち一人一人が自ら個性を磨き、創造性を伸ばし、国際社会で活躍できる心豊かな国民に成長するよう、教育振興、教育投資の充実に努めてまいります。
令和の日本型学校教育の実現のためには、学習指導要領の下での、個別最適な学びと協働的な学びとの一体的な充実が不可欠です。また、デジタルと対面での実体験の最適な組み合わせにより、子供たちの学びを充実させることも大切です。
質の高い教育を実現するため、教職員が安心して本務に集中できる環境づくりや、質の高い教師の確保に全力で取り組んでまいります。小学校における35人学級の計画的整備や高学年教科担任制の推進、多様な支援スタッフの充実により、指導体制の一層の整備を図り、校務DXの加速を含め、学校における働き方改革をさらに推進します。また今春速報値を公表する勤務実態調査の結果等を踏まえ、給特法等の法制的な枠組みを含めた教師の処遇等の在り方を検討します。
教育公務員特例法の改正を踏まえた、新たな教師の学びを実現する研修の高度化を図るとともに、特別免許状の活用促進等による多様な人材の教職への登用促進や強み・専門性を身に付けることと両立可能な教職課程の特例開設を含む、中央教育審議会答申を踏まえた教師の養成・採用・研修の一体的な改革を進めます。
GIGAスクール構想については、端末更新の時期を見据えつつ、全国の学校が1人1台端末を当たり前のツールとして活用できるよう、運営支援センターの機能強化や好事例の創出・展開を図ります。その際、デジタル教科書の普及促進により、児童生徒の学びの充実を進めます。
子供たちを取り巻くさまざまな課題や地域の課題の解決のため、地域や家庭と学校とが連携した取り組みの推進が重要です。全ての学校での学校運営協議会制度の導入に向けた取り組みを加速するとともに、社会教育に関する施設と人材が連携した地域での学びと実践の場づくりを促進します。休日の部活動について、さまざまな課題に対応しつつ、地域の実情に応じ地域連携や地域クラブ活動移行に向けた環境整備を進めます。
ソサエティ5.0に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤として、大学や高等専門学校等はわが国の社会や経済を支えることのみならず、世界が直面する課題の解決に貢献することが期待されています。このため学習者本位の教育への転換、教育研究基盤の強化を進めるとともに、社会人の学び直しの充実や、国際的な学生交流や大学の国際化の推進等を通じた、新たな価値が創造される場の形成を進めます。意欲ある大学等がデジタル、グリーンなどの成長分野への学部転換等の改革にちゅうちょなく踏み切れるよう、基金により、強力に支援します。また、産業界や諸外国から高い評価を受ける高等専門学校については、機能の高度化、国際化、地域の人材ニーズを踏まえた取り組みを進めます。
さまざまな課題を抱える子供たちを誰1人取り残さず、可能性を最大限に引き出すことが極めて重要です。少子化問題や格差解消のためにも、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要です。幼児期から高等教育まで切れ目のない形で、教育の無償化や負担軽減を着実に実施します。特に、学部段階の給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大や、大学院における授業料の後払いの仕組みを、令和6(2024)年度からの実施に向け着実に準備を進めます。
昨年度、小中高等学校における不登校児童生徒数が約30万人と過去最多になりました。不登校特例校の設置促進等全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、課題を抱える児童生徒の兆候の早期発見・早期支援、安心して学べる学校づくり等について検討を行い、本年度内に実効性のある対策を取りまとめます。
障害のある児童生徒への通級による指導や病気療養児へのICT活用、医療的ケア児への支援など特別支援教育の充実を図ります。子供たちが安心して学校で過ごせるよう、養護教諭等の支援体制の強化を進めます。さらに日本語指導が必要な児童生徒、貧困、虐待等の困難を抱える児童生徒、特異な才能のある児童生徒、へき地の児童生徒等についても、一人一人の教育的ニーズに的確に答える学びの場を提供します。夜間中学の全都道府県等での設置を促進します。在外教育施設における教育をさらに振興します。
私は就任以来、現場の声を大事にしています。学校や研究機関などを積極的に訪問し、お話を伺ってきました。今後もできる限り現地に足を運び、その声にしっかりと耳を傾け、母親や女性の視点も大切にしながら、さまざまな課題に対し果敢に取り組むとともに、文科省の働き方改革も進めてまいります。