小倉将信こども政策担当相は3月7日、閣議後の会見で、4月に発足するこども家庭庁で、職員の健康保持のため終業から次の始業までの勤務間インターバルを11時間確保するなど働き方の基本方針を発表した。男性の1カ月以上の育児休業取得率100%、家事・育児時間を前年度より増加させることなども達成目標として設定した。同庁が掲げる「子供真ん中社会」の実現のために同庁が霞が関で率先して働きやすい職場環境作りを目指すもので、小倉担当相は「こども家庭庁が霞が関での働き方改革のトップランナーになる」と意気込んでいる。
小倉担当相は会見で「良い政策を持続的に立案、実現していくためには、子育て中の職員の仕事と育児の両立のみならず、全ての職員にとって介護や就学など個人の置かれた状況と両立を図りながら、心身ともに健康で持ちうる能力を存分に発揮できる職場環境を作ることが必要だ」と、基本方針を立案した背景を説明した。
会見に同席した和田義明副大臣によると、こども家庭庁の働き方改革の基本方針として5つの原則を設定。「政策立案に向けて多様な観点から自由闊達(かったつ)な議論をするために風通しの良い組織にする」「時間・空間の制約を克服し、現場主義、当事者主義を実現するために仕事の在り方を最適化する」「柔軟な思考力を発揮するなど生産性を向上させるための職員の心身の健康を確保する」「個・チーム・組織レベルで継続的に働き方を改善し続ける」「人材の育成とよりよい政策を持続的に実現するために、マネジメント力を強化する」を挙げた。
これらを踏まえ、育児・介護などの生活と仕事の両立に向け、男性の1カ月以上の育児休業取得率100%や家事・育児時間を前年度より増加させることなどを達成目標として設定。健康保持のために11時間の勤務間インターバルの確保、DXの推進による効率化の観点から紙使用量を3年以内に半減するなどの目標を掲げた。
和田副大臣は「まずは挑戦をして成果を確認してうまくいかなかったところは、なぜいかなかったかというところを分析して、また再挑戦をするというようなことが重要だと考えている」と述べ、その上で「職員の皆さんの心身の健康を保つということを最優先に進めていきたい」としている。
さらに「霞が関(の中央官庁)の働き方は本当に厳しいという認識が当たり前のようにあると思うが、管理職やリーダーのイニシアチブで変わるということを証明したい。霞が関でできたのだから、民間企業でもいろいろなところでも頑張ってとエールを送りたいと思っている」と、民間企業などにも働き方改革を進めるよう呼び掛けた。同庁設立準備室ではすでにこの方針に基づき業務を行うこととしている。