千葉県議会はこのほど、同県内でも増加する不登校児童生徒の教育機会の確保を狙いとした「県不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例」を可決した。同条例は行政と学校、フリースクールが連携して不登校児童生徒の主体性を尊重し、登校のみを目標とせず、将来の自立に向けた支援を行うとする内容を盛り込んだ。4月1日に施行される。県によると、不登校児童生徒に特化した教育機会の確保を目的とした条例を定めた都道府県は初めてという。
千葉県の2021年度の調査によると、公立小学校の不登校児童数は3583人で前年度の2691人より892人増加し、全児童に対する割合は1.18%(前年度比0.3ポイント増)。公立中学校の不登校生徒は6368人で、前年度の5159人より1209人増加し、全生徒に対する割合は4.30%(同0.78ポイント増)だった。小中ともに全児童生徒数に占める割合が9年連続上昇を続けている。
条例ではまず、不登校児童生徒の教育機会の確保に関し、県の責務や市町村、学校、フリースクールなどの役割を明らかにするとともに、県の実施する施策について必要な事項を定めることで不登校児童生徒の状況に応じた施策を総合的に推進し、将来における社会的自立に資することを目的とした。
基本理念としては、不登校児童生徒の主体性を尊重し、登校できるようになることのみを目標とせず、将来の社会的自立を目指すこと、不登校児童生徒一人一人の状況に応じた多様な学習活動を認めて支援することとし、県、市町村、学校、児童生徒の保護者、フリースクール等その他の関係者が相互に密接に連携することなどを掲げた。
学校には個々の不登校児童生徒の状況の継続的な把握と、その保護者が多様な教育機会を選択するための支援に努めるとした一方、 フリースクールは、 県、市町村、学校、児童生徒の保護者その他の関係者と連携を図りながら、不登校児童生徒の状況に応じた教育機会の確保に関する活動を行うよう努めるものと、その役割を明記した。
その上で相談体制の整備として、県は不登校児童生徒とその保護者がそれぞれの状況に応じた助言やその他の支援を受けられるよう、支援に関する専門的知識を有する者を配置して相談体制を整備するなどの必要な措置を講ずるとしたほか、学校以外の場における学習活動の継続的な把握のため県は、市町村、フリースクール、不登校児童生徒の保護者と連携して、学校以外の場における学習活動の状況、心身の状況などを継続的に把握するために必要な措置を講ずる、としている。
条例では県、県教委、市町村教委、学校、児童生徒の保護者、フリースクールなどから構成される連絡協議会を設置することとしており、今後、同協議会で不登校児童生徒の支援に向けた施策の実施などが検討される。