内閣官房のこども政策の推進に係る有識者会議が3月15日に開かれ、政府によるこども大綱の策定に向けた議論のたたき台となる報告書案が示された。報告書は4月に発足するこども家庭庁に引き継がれ、秋ごろの閣議決定を目指すこども大綱の検討に反映される。有識者会議であいさつに立った小倉将信こども政策担当相は「国だけではなく地方自治体、企業、国民が一体となって、社会全体として子供政策に取り組む子供真ん中社会を実現していく」と述べた。有識者会議で案は座長一任とされ、年度内に正式に報告書としてまとめられ公表される。
昨年6月に成立したこども基本法では、子供施策に関する基本的な方針や重要事項をこども大綱で定めることとされている。こども大綱はこれまで別々となっていた少子化社会対策大綱、子ども・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱を一体化。首相を長とする閣僚会議であるこども政策推進会議が大綱案を作成し、閣議で決定される。有識者会議では昨年9月から有識者による議論とともに、小倉担当相が「こどもまんなかフォーラム」として計6回にわたり直接、子供・若者、子育て当事者や民間団体からヒアリングを行ってきた。
報告書案ではこども大綱について、常に子供・若者の最善の利益を第一に考え、子供・若者に関する取り組み・政策を社会の真ん中に据えた「子供真ん中社会」を実現し、子供・若者の視点で、子供・若者を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、その権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていく役割を持つとした。
その上で子供施策の立案・実施にあたっての共通事項として、子供・若者、結婚・子育てを希望する人や子育て当事者の視点に立って考えること、子供・若者のライフステージに応じて切れ目なく対応していくこと、全ての子供・若者への対応を基本としながら、子供・若者の現在と将来がその生まれ育った環境によって左右されないようにすることを掲げた。さらに、結婚や子育てに希望を持つことができ、その希望をかなえるようにすることも盛り込んだ。
また、子供施策を進めるにあたっての基本姿勢としては、全ての子供・若者が相互に人格と個性を尊重し合いながら主体的に自分らしく尊厳を持ち、幸福に暮らすことができるよう社会全体で支えていくこと、子供・若者のライフステージに応じて切れ目ない施策を確保していくこと、結婚・子育てを希望する人に対しての環境整備、支援に関わる大人たちに対しても子供・若者との関わりを通じて喜びや幸せ、充実感が得られるような支援を確保することを求めた。
加えて性別や性的指向・性自認が十分に配慮されるとともに、障害があったり、社会的養護のもとで育ったり、特定分野に才能があったりする子供・若者が、どのような状況下にあっても誰一人取り残されず、その特性に応じた支援や合理的配慮が行き届くよう求めている。