埼玉県戸田市の公立中学校で、教員が侵入した高校生に切り付けられた事件を受け、文科省は3月17日、学校の安全対策強化に関する事務連絡を全国の教育委員会などに発出した。各学校に危機管理マニュアルの点検を求めるとともに、2025年度まで、防犯カメラや非常通報装置などの整備に対する補助率を3分の1から2分の1に引き上げるといった対策に乗り出す。
事務連絡では学校の安全対策について、不審者の学校侵入を防止するためには登校時以外の校門の施錠と来校者管理の徹底が必要と記載。25年度までの間、集中的な支援を行うとした。具体的には、防犯カメラ・オートロックシステム・非常通報装置の整備に関する国の補助事業を拡充。補助率を3分の1から2分の1に引き上げるほか、補助下限額も400万円から100万円に引き下げる。
また、平時の備えの確認として、▽学校の危機管理マニュアルの確認・徹底▽安全教育の指導者養成や教職員への講習会などを通した、不審者侵入時の対応能力の強化▽警察直通の非常通報装置の効果的な活用――を求めた。このほか、スクールガード・リーダー(地域学校安全指導員)の育成支援、警察署に配置されるスクールサポーターとの連携、警察との情報共有体制の整備などを通して、見守りを強化するよう依頼した。
同日の閣議後会見で、事務連絡の発出を公表した永岡桂子文科相は、関係省庁で連携して万全の対策を行うよう岸田文雄首相から指示があったことを明かした上で、「文科省としては、不審者の侵入を許さず、子供たちが安心して学校で学べるように、学校安全を一層推進する」と述べた。
事件は3月1日、埼玉県戸田市立美笹中学校に高校生が侵入。同校の60代男性教員をナイフで切り付けたとして、現行犯逮捕された。男性教員は腕や腹など複数箇所に刺し傷を負った。