「小さく始めて体感すること」 文科省が働き方改革フォーラム

「小さく始めて体感すること」 文科省が働き方改革フォーラム
働き方改革のポイントについて説明する澤田氏
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 文科省は3月22日、「学校における働き方改革フォーラム」をオンラインで開催した。学校現場における働き方改革を推進するため、新たに同省が作成した「働き方改革チェックシート」の活用について説明があった。また、働き方改革を進めるためのポイントをテーマにパネルディスカッションが行われ、横浜市立日枝小学校の学校事務・上部充敬氏は「小さく始めて、まず体感することが大事だ」と強調した。

 同省では各学校における働き方改革の取り組み状況の把握・改善に活用することを目的とした「働き方改革チェックシート」を新たに作成し、今後、同省のホームページで公表する。同チェックシートについて、茨城県守谷市教育委員会の奈幡正参事は▽項目が日常の校務用語で分かりやすい▽学校の業務の全てを網羅している▽内容で具体的な取り組みをイメージできる▽取り組み例から事例集を開ける――など、「実用的で、働き方改革のアイデアが詰まっている」と説明した。

 こうしたチェックシートは、チェックすることがゴールとなりがちだが、奈幡参事は「例えば、自校で重点化したい取り組み例について議論したり、管理職の研修会資料として活用したり、独自の取り組みを加筆して自校オリジナルシートとして活用するなど、さまざまな活用法がある」と話した。

 その後は、学校における働き方改革を進めるためのポイントをテーマにパネルディスカッションが行われた。「先生の幸せ研究所」の澤田真由美氏は「学校における働き方改革は、時間さえ生めばいいかというと、そうではない。本当に必要なことに、必要な時間をかけられることが重要だ」と指摘した。また澤田氏は「働き方改革チェックシート」について、「チェックシートで×が付いてもいい。チェックシートは現状を知るものであって、考えていくための素材がそろったということ。まだできていない部分は、伸びしろだと変換して考えていったらいいのではないか」とアドバイスを送った。

 また、保護者や地域の人たちの理解を得るポイントとして、元公立小校長で認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラムの新保元康理事長は「今は、学校だけが忙しいわけではなく、みんなが忙しい時代だ。だからこそ、その状況をお互いで認め合い、みんなで知恵を出していく必要がある」と指摘。奈幡参事は「守屋市はコンパクトなので、市内13の全ての学校を守谷市の一つの学校として働き方改革を同じ歩調で進めてきた。学校単独ではなく、市のビジョンの中に学校の働き方改革を明確に打ち出し、保護者や地域に発信してきた」と話した。

 上部氏は、働き方改革に取り組む際のポイントについて、「小さなプロトタイプをつくって、実行すること。小さく始めて、まず体感することが大事だ。また、今はさまざまな支援員が学校に入ってくれていて、戦力図も変わってきている。改めて今いる人たちの力をどうやって生かすかという議論をしていけば、不安も払しょくしていけるのではないか」と訴え掛けた。

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