教育データの利活用でQ&A公開 文科省、有識者会議で報告

教育データの利活用でQ&A公開 文科省、有識者会議で報告
iStock.com/courtneyk
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 文科省は3月22日、「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)」について、「教育データの利活用に関する有識者会議」の第17回会合で報告した。個人情報の適正な取り扱いなどを総論で解説した上で、教育委員会や学校の疑問をQ&Aでまとめた。有識者会議の堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「現状ではまだ不明瞭なこともたくさんある中で、してもよいこと、絶対してはいけないことを少しでもはっきりさせていこうというものが、今回の第1版だ」と説明した。

 今月17日に公開された留意事項は、教育委員会や学校での教育データの利活用が進む中で、セキュリティーや個人情報などに関して心配の声があることを受け、有識者会議での議論を踏まえて作成。公立学校の教職員、教育委員会の職員などが、児童生徒の教育データを取り扱う際に留意すべきポイントをまとめた。

 内容は「総論編」で①個人情報の適正な取り扱い②プライバシーの保護③セキュリティー対策――の3つの観点を解説した上で、「Q&A編」でよくある質問に回答している。Q&A編では、「教育データを利活用する時には、どのようなことに気を付ければよいか」「教育データが流出してしまった場合や意図せずに削除されてしまった場合に、どのような対応が求められるか」「取得の同意を行う場合、誰が誰から同意を取得すればよいか」など11項目を盛り込んだ。

 今回の有識者会議の会合で戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教育委員会教育長)は、この留意事項に対し、「もうすでに動き始めている教育委員会にとってはとても参考になるとは思うが、これから何らか着手したいというところや、これからチャレンジしてみようという自治体や学校でもスモールスタートができるように、スタートアップ・マニュアルのようなものができてくるとよい」とコメントした。

 有識者会議ではまた、教育データの標準化などのルール、基盤的ツール開発・活用、教育データ研究・分析のそれぞれの事項で、文科省や各自治体などの取り組みを共有しながら、専門的な議論を進めていくという今後の方向性が示された。堀田座長は「専門性の観点(が必要な)、各論の込み入った話になりつつある今、一度に皆が集まって、同じ土俵で全部を同時に議論するというよりも、うまく区分けしてそれぞれに議論していかないと、論点がずれていく可能性がある」と指摘した。

 「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)」は、文科省のウェブサイトで読める。

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