4月から3年間の改革推進期間が始まる公立中学校の休日部活動の地域移行について、東京都教委は3月23日、都の具体的な方針やスケジュールをまとめた推進計画を示した。2025年度末までに、都内全ての公立中学校などで、地域連携や移行に向けた取り組みが行われていることを目指し、大学や人材バンクを活用した指導者確保のほか、民間事業者による運営を含めた地域移行に関する実証事業を、全ての都立中学校で5月中旬から1年間行う。
都教委が行った調査によると、有償ボランティアの位置付けで、専門的な技術指導を行う外部指導者を配置している部活動は運動部、文化部ともに約30%。また、今年度までに地域連携に関する協議会を設置しているのは都内の区市町村62地区のうち、27地区だったほか、計画の策定について、今年度中に方向性を示すと回答したのは8地区にとどまっている。
都が示した推進計画では、休日などの指導者確保を目指し、来年度から体育系や文化系の学部を有する大学と連携。24年度から競技や活動経験のある大学生による指導を拡大させる。合わせて、東京学校支援機構(TEPRO)が設置している学校支援のための人材バンクへの登録を地域のスポーツ・文化芸術団体に呼び掛ける。
加えて、休日の部活動を地域に段階的に移行できる体制を築くために、5月中旬ごろから来年3月にかけて、中等教育学校の前期課程を含めた都立中学校全10校で実証事業を行う。各校一つの部活動を対象に、スポーツ団体などの外部指導者による指導や民間事業者による部活動運営を、休日や長期休業を中心に計60回実施。都教委から委託されたTEPROがコーディネーター役を務め、指導候補者や候補事業者の選定を行う。
指導中や運営中のトラブル、事故対応も含めた管理責任の主体を明確にし、共通理解を図るために年3回程度の連絡会議を開催するほか、区市町村に対し、成果を発信する。また、検証を踏まえ、拡充も含めた24年度以降の実証事業の展開も検討する。
都立高校に対しても6校をパイロット校に指定し、中学校と同様の取り組みを実施。休日の部活動の民間委託による教員の負担軽減について、効果検証を行う。
さらに、学校や保護者も交えた部活動検討委員会を年3回開催。持続可能な部活動環境の構築について検討するほか、区市町村と関係団体が緊密に連携できるよう、協議会をはじめとした連絡調整の場を設けるなど体制を整備する。
推進計画は同日の都教委定例会で示された。出席した委員からは「大学生の活用については、教員採用への優遇や教職課程の一環になるといった学生にとってのインセンティブも必要。大学が多くある利点を生かし、モデルを作って欲しい」や「文化部は部員の少ない部活動も含め、外部指導者の確保が運動部よりも難しい。大学、企業や地域団体など幅広い協力が必要」といった意見が出された。