文科省は3月24日、2022年度に実施した特別支援教育に関する調査の結果を公表した。発達障害などにより、通級による指導を受けている児童生徒数は前年度に比べ約3万人増加し、18万3880人と過去最多を更新した。幼稚園、小・中・高校に在籍する医療的ケア児は2000人を超え、医療的ケアを行う看護師などの配置数を上回った。
文科省が21年度に通年で調査した結果によると、通級による指導を受けている児童生徒は18万3880人。20年度の16万4697人に比べ1万9183人増加し、過去最多となった。障害種別でみると、▽注意欠陥多動性障害 3万8656人(前年度比4829人増)▽学習障害 3万4135人(同3523人増)▽自閉症 3万6760人(同4413人増)▽情緒障害 2万4554人(同2717人増)▽弱視、難聴、肢体不自由および病弱・身体虚弱 2600人(同156人増)▽言語障害 4万7175人(同3545人増)――で、全種別で前年度を上回った=図表①。
学校種別では、▽小学校 15万4559人(前年度比1万4304人増)▽中学校 2万7650人(同4508人増)▽高校 1671人(同371人増)。
高校において、通級による指導が必要だと判断した生徒の数は2513人おり、このうち842人は通級による指導を行わなかった。理由として多かったのは▽本人や保護者が希望しなかった(502人)▽通級による指導の担当教員の加配がつかず、巡回通級や他校通級の調整もできなかった(115人)▽特別教育課程の編成や時間割の調整が出来なかった(57人)。
医療的ケア児の数については、全国の幼稚園8661園と小・中・高校(義務教育学校と中等教育学校を含む)と特別支援学校計3万5067校を対象に、22年5月1日時点で調査した。この調査における医療的ケア児は看護師や保護者などが医療的ケアを行っている、もしくは看護師などが見守りや助言を行っている幼児・児童生徒を対象にしており、見守りや助言などがなく、自らの医療的ケアを行っているケースは除いている。
調査結果によると、幼稚園、小・中・高校に在籍する医療的ケア児の数は2130人。前年度より347人増えた。学校種別では▽幼稚園 271人▽小学校 1527人(うち特別支援学級 888人)▽中学校 266人(同152人)▽高校66人。
一方、幼稚園、小・中・高校に配置された医療的ケアを実施する看護師等の数は2067人。前年度に比べ44人増えたものの、医療的ケア児の数を3年ぶりに下回った(20年度はコロナ禍のため調査せず)。業種別の内訳は看護職員が1799人、介護職員などでたんの吸引といった医療行為を行う認定特定行為業務従事者が268人。看護職員については前年度より87人少なくなった。
保護者が医療的ケアのため登下校などの付き添いを行っている医療的ケア児は1409人で、全体の6割を上回った。さらにこのうち、517人は学校生活で保護者が付き添いを行っている。その理由として、「医療的ケア看護職員が配置されていない、もしくは認定特定行為業務従事者がいない」が285人(55.1%)と最も多く、不足が生じている実態がうかがえる=図表②。