高校生の国際交流、コロナ禍で激減 21年度の海外修学旅行は0人

高校生の国際交流、コロナ禍で激減 21年度の海外修学旅行は0人
【協賛企画】
広 告

 2021年度の高校生の外国への研修旅行や留学は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大でコロナ前の17年度と比べて大幅に減少し、海外の修学旅行は0人だったことが3月31日、文科省が公表した高校生の国際交流に関する調査結果で分かった。

 調査結果によると、外国への研修旅行(3カ月未満)は1217人(17年度比4万1576人減)、留学(3カ月以上)は1901人(同2175人減)で、いずれもコロナ前の17年度と比べて大きく減少した。また外国への修学旅行は17年度が17万9910人だったが、21年度は0人だった=図表

 一方、受け入れについても、外国からの研修旅行生(3カ月未満)は33人(17年度比3415人減)、学校訪問を伴う外国からの教育旅行の受け入れは12人(同3万9519人減)と17年度に比べ、大幅に少なくなった。外国人留学生(3カ月以上)は859人(同1762人減)。留学生の出身地は42の国と地域にわたり、最も多かったのは中国(448人)だった。

 今回は新たに、オンラインを活用した国際交流や海外の高等教育学校に進学した人数も調査。オンラインを活用した国際交流を行っている学校は1129校で、回答総数の約2割だった。また、21年度卒業生のうち、海外に進学した人数は1424人。うち大学は1180人だった。進学先は32の国と地域にわたり、最も多かったのがアメリカ(503人)だった。

 また、高校生の留学支援や環境整備を整えている都道府県は28自治体と、こちらも17年度の46自治体に比べて、大きく減少した。このうち、留学にかかる経費の支援を行っているのは8自治体にとどまった。

 文科省は27年度までに、海外留学者数をコロナ前の水準に戻すことを目指している。これらの調査結果について、同省総合教育政策局国際教育課は新型コロナウイルスの影響が大きいとしつつも、「ウクライナ危機などの情勢不安で海外に行くことに不安を持つ生徒や保護者は少なくないと思う。『短期留学を入口に長期でも』と考えていた人は行きづらく感じているのではないか」と懸念を抱く。その上で「補助事業を通して留学をしたい人の後押しを続けるとともに、国際交流を促進し、底辺拡大に努めたい」とした。

 同調査は1986年度から隔年で行っている。今回は昨年夏から秋にかけて、全国の高校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部を対象に5530校から回答を得た。19年度は新型コロナの影響で調査を行わなかった。

広 告
広 告