学校でのChatGPT活用、自民部会で抑制意見 文科省は指針検討

学校でのChatGPT活用、自民部会で抑制意見 文科省は指針検討
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 大量の自然言語データを学習し、文脈に応じた応答を生成するAI「ChatGPT」の学校現場での活用を巡り、自民党は4月6日の文科部会で、近く永岡桂子文科相に提出する予定の「GIGAスクール構想の更なる展開に向けた緊急決議」に、対応策を盛り込むことを検討する方針を示した。中村裕之部会長によれば、会合に出席した議員から出た意見は「どちらかというと制御的、抑制的にという意見」だったという。同日、松野博一官房長官は記者会見で「教育における新たな技術の活用にあたっては、そのメリットとデメリットの両方に留意することが重要」と発言。文科省ではChatGPTなど生成AIの活用について、学校現場の判断の指針となる資料を取りまとめる方針で、同省の担当者は「全て禁止するのではなく、新しい技術を活用しながら、自分の考えを形成していくことが大事」としている。

 4月6日、自民党本部で開かれた文科部会では、GIGAスクール構想の今後の対応についてまとめた緊急決議案を審議した。同党の学校DX推進プロジェクトチームが提出したもので、GIGAスクール構想について、「相当数の学校現場で活用の成果を実感しつつあり、今後のさらなる改善への期待感も醸成されてきている」とする一方、「1人1台端末の利活用の状況には、いまだ地域や学校、教師によって大きな差が存在する。早急な是正が必要」と指摘。GIGAスクール構想の今後の在り方について、集中的な取り組みを求めた。

 加えて、今後の学習指導要領の改訂を見据え、GIGAスクール構想のさらなる展開に向けた専門的な検討を早期に始めることを要望。部会後、取材に応じた中村部会長によれば、これに関連して、議員から「ChatGPTについての対応も念頭に入れるべき」という意見が出され、それは「どちらかというと制御的、抑制的にという意見だった」という。中村部会長は、こうした意見を踏まえて決議案の修正を検討し、近く永岡文科相に提出するとした。

 自民党の決議案では他にも、教育委員会や学校に対する支援を強化するとともに、各自治体の取り組み状況や阻害要因を可視化すること、耐用年数が迫り故障も増えつつある中、自治体の財政状況に左右されることなく活用できるよう、端末更新の費用を措置することなどを盛り込んだ。

 ChatGPTは昨年11月、米国のAI研究機関「オープンAI」が公開した対話型AIで、教育現場での利用を巡っては、教員の授業準備や事務の効率化に役立つだけでなく、子供たちの学びを大きく変える可能性が指摘されている。一方、「カンニングに使われる」などの懸念も出ており、ニューヨークやロサンゼルスなどの学校区で利用禁止の措置が取られるなど、規制の動きも出ている。

 松野官房長官は4月6日の記者会見で、ChatGPTの教育現場への影響などについて問われ、「教育における新たな技術の活用にあたっては、そのメリットとデメリットの両方に留意することが重要であると考えている。そのため現在、文科省において、生成AIの取り扱いについて学校現場が主体的な判断をする際に参考となる資料の取りまとめを行う方針であると承知している」と答弁した。

 文科省も教育新聞の取材に対し、ChatGPTなどの活用に関して、学校現場向けの指針を作成する検討に入ったことを明らかにした。AIやメタバースなど先端技術の利活用推進の一環として、国内外の事例や有識者の見解などを踏まえた上で、学校現場に向けた資料をまとめる予定としている。

 文科省修学支援・教材課の担当者は「文科省としては情報活用能力の育成を重視しており、(ChatGPTなどの利用を)全て禁止するのではなく、新しい技術をどのように活用しながら、自分の考えを形成していくかが大事だと考えている。もちろん、発達段階に応じて『使わない』という判断をすべき場面もあるだろう。工夫して使っている事例を収集し、学校が活用を考える際に参考になる資料を取りまとめたい」と話す。

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