「上手な勉強の方法が分からない」と感じている子どもが増加を続け、2022年には7割を占めていることが4月11日、東京大学社会科学研究所とベネッセコーポレーションの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」の共同研究プロジェクト「子どもの生活と学びに関する親子調査」で明らかとなった。学習方法が理解できるようになると、学習意欲が向上し成績も上昇しており、学習方法の理解と学習意欲、成績には関連があることも分かった。
この調査は、14年に共同プロジェクトが立ち上がり、翌年から始まった。小学1年生から小学3年生の保護者と、小学4年生から高校3年生までの子どもとその親を追跡した調査で、8回目となる今回は、22年7~9月に、8682組の親子がインターネットで回答した。
調査では、小学4年生から高校3年生までで、「上手な勉強の仕方が分からない」という質問に「とてもあてはまる」「まああてはまる」と答えた割合について着目。この質問を加えた16年以降の推移をみると、19年には57.2%と最も低くなったが、その後は年々増加し、22年には67.5%と最も高い割合になった。特に小学校高学年ではその増加が顕著であり、学校段階が上がるほど、この割合は高くなっていった(=グラフ)。
こうした学習方法と学習意欲、成績、学習時間の関係を分析したところ、小学校高学年、中学生、高校生のどの年代でも、学習方法は学習意欲とやや強い相関があり、成績とも関連があることが分かった。実際に、この質問について前回と今回の調査を比べたところ、勉強のやり方が分かるようになった子どもたちでは、学習意欲が上昇した子どもも多かった。反対に勉強の仕方が分からなくなった子どもたちの中には、学習意欲が低下している子どもたちが多くいることが確認できた。
ベネッセ教育総合研究所の木村治生主席研究員は「学習方法は試行錯誤しながら編み出すものなので、いろんな能力と関係していることも明らかになった。例えば論理的思考が得意かや、一度決めたことは最後までやり遂げる粘り強さなどに対して、成績にかかわらず、学習方法が分かっている子の方が、分からないという子よりも肯定率が高い。学習方法の理解はさまざまな能力と関係がありそうだ」と分析する。